更新日:2013年06月26日 09:15
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手作り料理のマッチングサイト「キッチハイク」を利用してみた

「マッチングサイト」と呼ばれるサービスが流行している昨今。有料で他人に自宅の空き部屋やベッドを貸す「air bnb(エアービーエヌビー)」、タダで他人にベッドやソファ(カウチ)を貸して旅行者を宿泊させる「カウチサーフィン」などがある。  そんな中、5月20日に「キッチハイク」(https://kitchhike.com/)というサイトが登場した。なんと、「他人に料理を作ってあげたい料理好きな人」と、「食べてみたいという好奇心旺盛な人」をマッチングするサイトである。  サイトはFacebookのアカウントで登録することもでき、ニックネームや自身の顔写真のほか、料理のテーマや料理写真などをアップロードする。登録者の地域は現在11か国で、日本人登録者は30名程度だ。  記者は中国在住であるが、現地の中華料理は味付けが濃すぎたり油っぽかったりして、正直「自分の作る料理の方が絶対ウマイ」とすら思っている。  そこで、「日本人好みの中国家庭料理」をテーマにして、カニと豆腐の炒め物や小ぎれいな野菜炒め等、自分なりの自信作をアップ。料理の値段も自分で設定でき、とりあえず30ドルと設定した(現地通貨ではなく、ドル建てとなっている)。台所や部屋の雰囲気も分かる写真があるとなお良い。食べる側としても、どんな場所か分かった方が安心できるだろう。
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部屋や台所の雰囲気などもアップすると良いらしい。正直、こんなところに来てくれるのか?とビミョーな心境ではあったが……

 内心、「こんな民家でメシ食いたいなんてモノ好きな人おるんやろか…」との思いを抱いていたが、登録から2週間後、ついに「キッチハイク見ました。良かったら是非」とのメッセージが届いた。相手との連絡はキッチハイクのサイト上のメッセージボードで行う。メッセージをくれたのは、20代後半のごくフツーの日本人バックパッカーY君。メールの文面も常識的だ。  問題なかろうと思い、ランチの申請を受け入れ日時を調整した。ちなみに、気に入らなければ申請を断ることもできる。  そして当日。待ち合わせ場所に向かい、「はじめまして」と声をかける。完全に初対面だが、メールで何度かやり取りしていたので、思ったより違和感はない。  この日は市場で食材を買い込むところから同行してもらった。巨大バックパックを背負ったY君は、ローカル感満載の市場の様子に興味津々だ。「魚とか生きたまま売ってるんですねぇ」、「野菜とかめちゃ安いですね」。原価がバレるというのはナンだが、こうして食材仕入れの段階から同行してもらうのも面白いのかも。  自宅に戻ってマイルームでテレビなどをつけ、しばしくつろいでもらった。  記者はその間に、 ・カニと豆腐の炒め物 ・中華風のかぼちゃのスープ ・中華野菜と豚肉の炒め物  の3品を作成。そして一緒に食べる。 ⇒【写真】完成!日本人向け中華料理
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=459199
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記者の力作、日本人向け中華料理完成!

 一口二口食べ始めたところで、「あ、美味しい!」の一言にとりあえずホッとなる。ウドのような中国野菜も気に入ってくれたみたいだ。カニは殻付きなのでどうやって食べたらよいのかと聞かれたが、「中国人みたいに大胆に歯でカラを破壊しながら食べて下さい」と伝え、手拭きと殻入れを差し出した。  ちょっと食べにくそうだったが、これもまた中国体験であろう。かぼちゃのスープは甘い味付けなので「これ、デザートですかね?」と聞かれた。  中国人はデザートではなく料理の一つとして食べているが、日本人にはデザートに見えるのかも。
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「ウマい!」と気に入ってくれたバックパッカーのY君

 初対面の相手にいきなり手料理をふるまい一緒に食す、というのはちょっとビミョーな感じになるかと思いきや、お金を払ってもらっているため精神的負担は感じない。「中国に住んでどのぐらいなんですか?」、「どんな記事書いてるんですか?」、「出身地は?」等々、相手のことを何も知らないがゆえに、互いの基本情報をしゃべり合っているだけでも話題はなかなか尽きなかった。  小一時間ほどで食事を終えて、「いやー満腹です」とくつろぐY君。一緒に記念写真を撮り、別れ際には「また会いましょう!」と固い握手を交わした。  料金の支払いは事前にPaypalで行い、作り手の私はpaypalまたは銀行口座を通して食事後に受け取る。  サイト運営会社が20%の手数料を徴収するため、実際私のフトコロに入ったのは24ドル(約2300円)。そこから材料費を差し引くと純利益は1600円といったところか。次はもう少し強気の価格にしてしまおうか?とも思った。  Y君は「現地の人と知り合えるのが素晴らしい。地元の食材を地元の人に調理してもらえるのは新鮮」と結構満足してくれたようだ。  記者も、旅行者と交流しながら手料理をふるまうという非日常体験が味わえた。日本語版も6月中にスタートするという。「突撃! 隣の晩御飯」的な繋がりがどこまで普及するのか、見守っていきたい。 <取材・文/西谷 格>
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