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映像演出技術「プロジェクションマッピング」ブームの理由

アート施設や街の壁面、エンタメショーで近頃よく見かける「プロジェクションマッピング」という映像演出技術。思わず見る人の足を止めるその技術とは、いかなるものなのか。そして、ブームの理由は何なのだろうか? ⇒【前編】はコチラ https://nikkan-spa.jp/492378 ◆プロジェクション技術の成熟とこれからの展開
プロジェクションマッピング

Panasonic DZ13K Portrait Projection Mapping。今年6月にアメリカで開催されたinfocomm2013という映像機器の世界展示会にて。今後、世界中を巡回予定

 プロジェクションマッピングの歴史を辿ると、’90年代後半に遡る。 「この頃からヨーロッパの演出家や芸術家が作品を発表しだしたのが始まりという説があります。そして、’06年から徐々に広まり、’08年の北京五輪の開会式の演出に採用され、世界的に有名になりました。日本では少し遅れて、’10年、’11年になってからですね。弊社ではそれ以前に上海で事例を作り、日本に持ち込みました。ただ、海外は屋外でのプロジェクションマッピングの規制はかなり緩いんですが、日本は道交法やその他の条例などが厳しいのが難点です」  そうした課題をクリアして普及してきたプロジェクションマッピングだが、現在は業界の二極化が進みつつあるという。 「先進性と高品質で業界を牽引する一極がある一方で、一時の流行りものとして扱われ、低品質・低コストで実施している一極もあります。過剰供給になることで価値を下げないためには、今後はプロジェクションマッピングをその場所でやる“意義”を深める必要があります」  それに伴い、昨今の人気の秘密を谷田氏はこう分析する。 「ここまでプロジェクションマッピングが人気を得たのは、デジタルな技術でありながら、とてもアナログ的な体験だから。駅や施設といったアナログな場で同時にひとつのものを見て感動を共有できるのは、今のこのデジタル時代には新鮮です。この価値に加えて、例えば街のシンボル的な建物で実施するなら、誰もが知っているその建物の違う見方を提示するコンテンツをいかに作るか、今後はこれが重要になってくるでしょう」  高度なデジタル技術によって作られながらも、「舞台」はあくまでも現実の空間。そこで観客はデジタルを意識せずに感動体験ができる技術。技術が普及してきた今後、より凝った演出や表現が問われるようになっていきそうだ。 ※「’13 プロジェクションマッピング事例」はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/492380 取材・文/朝井麻由美 ― プロジェクションマッピング人気の秘密【2】 ―
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