コンデジ業界、生き残りのための3つの戦略
―[コンデジ業界の生きる道]―
スマホの登場以来、縮小傾向にあるといわれ続けているコンデジ市場。お手軽かつ、十分な画質で撮れるスマホに対抗する術はあるのか? メーカー各社の工夫を探る。
⇒【前回】苦境のコンデジ、頼みは「スマホの補完」能力 https://nikkan-spa.jp/501174
【戦略1】水中、雪山、スマホが苦手とするシーンに特化
「スマホにできないことをできるコンデジ」という立ち位置では、アウトドアに特化した商品が本領を発揮。大自然の中でのレジャーの撮影では、スマホよりもこういったタフ仕様のデジカメを持ち歩きたい。「ここ数年、山登りや釣りなどのアウトドア人口が増えていることもあり、防水や衝撃に強いのをウリにしているタイプは売れ続けています」(デジタル系ライターの荻窪圭氏)
狭い範囲向けではあるが、細く長く需要のあるジャンルである。オリンパスの「TG-2」は、iPhone、Android対応のアプリ「OLYMPUS Image Share」と、東芝製無線LAN搭載SDHCメモリーカード「FlashAir」を用いれば、Wi-Fi接続も可能。撮影した場所の位置情報を記録するGPSと電子コンパスも搭載。
●オリンパスSTYLUS TG-2 Tough
防水15m、耐落下衝撃は2.1m、耐低温は氷点下10℃と、水中、雪山、登山などどんなアウトドアシーンでも活躍。’13年2月発売。3万6000円
【戦略2】スマホにはできないハイクオリティの自分撮り
スマホで容易にできる自分撮り機能は、Wi-Fi搭載があってこそ。スマホでは行き着けないクオリティの自分撮りを撮影し、Wi-Fiでスマホに飛ばす。女性をターゲットにした機種で、自分撮り ・Wi-Fi搭載・美肌フィルタ・レタッチをセットにしてセールスポイントにしているパターンが多い。アジア圏で「自拍神器」と呼ばれブランド化している「EXILIM TR」シリーズは、モードの選択をしなくても、自動で美肌フィルタがかかる仕様。
「スマホでの自分撮りのような普段使い目的というよりも、旅行などで写真を撮るときに、一度コンデジを持ったら、スマホに持ち替えてほしくない、という意図があるのでしょう。風景写真を撮ったあと、自分も含めた写真も撮りたい、そんなときに自分撮り機能がついていると便利です」(荻窪氏)
●カシオ EXILIM TR15
7月に3000台限定で発売され、8万円台と高額にもかかわらず、売り切れた。フレームが360度回転するのが特徴
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=501187
●ニコン COOLPIX S6600
ジェスチャー操作機能で、カメラから離れていても撮影などの操作が可能。モニターが回転して自分撮りもOK。8月29日発売予定。3万円(予想店頭価格)
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=501188
【戦略3】ミラーレスや一眼に引けを取らぬ画質と表現力
カメラの本領発揮、というところで勝負している機種も少なくない。ズーム倍率の向上や、暗所での画質アップなど、“明らかにコンデジで撮ったほうが画質がいい”と感じさせるように尽力している。
「これらのタイプも、たいていWi-Fiが搭載されていて、基本はスマホと仲良く連係したいというのが根底にあります。過去のコンデジと違うのは、とにかく“高機能”。かつてはあれもこれもとたくさんの機能がついていてお得感のある“多機能”なものが好まれましたが、今はクオリティの高い“高機能”な機種がよしとされます」(荻窪氏)
この手の機種は、アウトドア系や自分撮り機能などの個性をウリにするのではなく、撮れるものの質にこだわったストイック型といったところか。一眼レフ顔負けのアート写真が撮れるものもある。
●キヤノン IXY 610F
光学10倍ズームに加え、倍率に応じて最適な画像処理を行う機能により約20倍のズーム領域でも高い解像度を保つ。1万8000円
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=501193
●キヤノン PowerShot N
一回の撮影で、画像のシーンを解析し、構図や色調、露出を自動で調整した5種類の写真を追加で出力でき、思いがけないアート写真を楽しめる。2万9980円
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=501196
●パナソニック LUMIX DMC-LF1
光学7.1倍ズーム、F2.0のレンズで暗い場所でも高画質で撮れる実力派。このクラスでは唯一EVFを内蔵し、ファインダーを覗いて撮れる。3万9000円
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=501199
●ソニー RX100 II
他のコンデジと比べ、約2倍の大きさである1.0型のセンサーを搭載し、コンデジとしては破格の高画質を実現した。6万5000円
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=501204
【荻窪 圭氏】
デジタル系ライター。『ASCII.jp』で連載中。『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社)ほか、著書多数
取材・文/朝井麻由美
― コンデジ業界の生きる道【2】 ―
『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』 ちょっと誰かに見せたくなる。写真の撮り方おしえます |
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