更新日:2013年10月11日 12:06
デジタル

中国でiPhone 5Sゴールドがバカ売れする5つの理由

iPhone 5S

中国のネット上で高値で売買されるiPhone 5Sのゴールド

 iPhone 5S/Cが発売されてもうすぐ1か月が経とうとしている。今回、はじめて1次販売国となった中国では、アップルの「5Cは中国市場向け」という戦略が大失敗した。同社の予想に反して5Sのゴールドが中国で大人気となったためで、現在も超品薄状態が続いているという。ちなみにこのゴールド色は中国では「土豪金(成り金色/田舎のボス色)」という独特の”アダ名”がつけられている。  iPhone 5Sゴールドの中国での定価は5288元(約8万5000円)だが、都市部では10万~14万円、アップルストアのない地方都市やネットショップでは倍の17万円前後で取引されているという。こうした状況を受け、(もはやお約束だが)アメリカやカナダ、欧州各国のアップルストアでは現地在住華人・華僑による買い占めや大量購入がおこっており、海外でも品薄が波及しつつある。  そんななか、中国ネットメディア「钛媒体」は、なぜiPhone 5Sのゴールドが中国人消費者の心を掴んだかという文章を発表し、話題となった。  同メディアによると、理由は大きくわけて5つあるという。以下、紹介しよう。 (1)メンツによる消費心理から  まず中国人は見栄っ張りだ。携帯は単なるツールではなく、存在自体がコミュニケーション・ツールである。中国人は90年代、携帯がまだ「大哥大」と呼ばれていた時代から、携帯を「見栄を張るための道具」と考えていた。IT企業関係者や、民間企業の幹部、自営業者まで商談の際、相手に自分をアピールするためにゴールド色を選ぶのだ。 (2)ゴールドでしか見分けられないから  iPhone 5Sのゴールド以外の2色(シルバーとスペースグレー)は、iPhone 5と他人から見ると見分けがつかない。加えて5Cは、「廉価版」というレッテルを貼られている。すなわちゴールドを持つことでしか、最新のiPhoneを所有しているということを他人に誇示できないのである。 (3)中国でゴールドが暗喩する意味が消費者心理を動かしたから  工業製品におけるゴールド色は、エレガントで洗練されたイメージを表しているが、中国の消費者にとってはそうではない。中国人にとってゴールドは「成り上がり」や「田舎の金持ち」を象徴しているのだ。だから「土豪金」という名付けられた。そして、中国人ユーザーは口では成り上がりや田舎の金持ちをバカにしつつ、一方では「アイツらが欲しているゴールドは、俺でも金を出せば買える」と自己を肯定化するため、ゴールドを買ってしまうのだ。これは中国人独特の消費者心理だろう。 (4)中国のマニアは落胆の末、消極的選択をしたから  新しいアップル製品に、常に革新的な創造性を期待していた中国のアップルマニアたちは、新しいiPhoneについておおむね落胆している。だから、今回は仕方なくゴールドを買うことでしか、アップルの新製品発売時の“熱狂”を共有できない。 (5)ネット発のスラングが瞬時に定着したから  もともと「土豪金」という呼び方はネットスラングから出てきた言葉だ。ネット上でブームになったこの言葉が「陶宝(タオバオ)」など大手ショッピングサイトに出店するショップが多用しはじめ、いっきに広まって流行語のようなものになった。結果、冷蔵庫から自動車、指輪まで、ゴールドをあしらったものはすべて「土豪金」と形容されるようになった。  中国人がなぜ、iPhone 5Sのゴールドに飛びついたかが少しは理解できただろう。ちなみに日本でもゴールドが人気のようだ。マイナビニュースによると、1024人にアンケートした結果、43.8%が「買うならゴールドを選ぶ」と回答したという。ゴールド人気の現象は中国だけではないようだ。 <文/日刊SPA!取材班 参照元/钛媒体(http://www.tmtpost.com/)
おすすめ記事
ハッシュタグ