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【個人版中国撤退】現地採用&自営業者の3分の1が廃業&帰国

中国,上海,日本企業 悪夢の反日デモから1年、日本企業の中国離れが浮き彫りとなってきた。日本貿易振興機構によると、今年上半期の日本企業による対中国の投資額は、前年同期比31%減の49億3000万ドルにとどまった。一方、東南アジアへの投資額は55%増となり、日本企業による中国撤退の動きが鮮明になった。  そんななか、水面下で加速しているのが「個人版中国撤退」ともいうべき動きだ。自営業者や現地採用など、中国で生活することを自ら選択してきた日本人の帰国ラッシュが続いているのだ。  深セン市で8年間にわたり貿易業を営んできた大泊春樹さん(仮名・45歳)も、帰国を決めた。 「7月、日本に一時帰国しようとした際、税金の申告漏れで出国停止処分にされてしまった。税務署に出向き、指摘された金額を納税し、やっと出国できました。ウチなんてせいぜい年商3000万円の会社。政府もよほど財政難のようで、スモールビジネスの多くは正直、税金をマトモに払っていたら続かない。日本とも物価差も縮まっているから、うまみもない」  上海市で5年間にわたり、日本食料理店を経営していた宗光威さん(仮名・43歳)は、労働者の質の低下に嫌気が差したという。 「人件費高騰などの理由もあるけど、一番は90后(’90年代生まれの若者)の従業員が使えないこと。すぐ休むし、すぐ辞める。もう嫌になって店を売りに出しました。また、夜のお店に遊びにいっても90后の女は接客がなってない。仕事もダメ、遊びもダメならこの国にいる意味はない」  中国人を使う苦労もあれば、中国人に使われる苦労も。東莞市の古内隆俊さん(仮名・33歳)も、現地採用されて4年間勤めた日中合弁のメーカーを退職した。 「上司はずっと本社からの駐在員でしたが、昨年から他社から引き抜いた中国人に代わった。結果、中国流と日本流の商習慣がぶつかり、かなりストレスでした。多くの日系企業は、コスト削減や国内市場開拓のため、現地化を進めていますが、あまりに急激で、日本人社員への負担になっている」  日本人の帰国ラッシュについて、中国在住のジャーナリスト・吉井透氏はこう話す。 「自営業者や現地採用者は、駐在員と異なり、在留届を提出している割合が低いので、動態が掴みにくい。上海市のある日系不動産業者によると、今年に入って3人に1人の日本人が中国を後にしたと言います。企業の場合は撤退障壁が大きく、『残るも地獄、去るも地獄』という状況になっていますが、個人レベルの中国撤退は、すごいスピードで進んでいます」  しかし、ポストチャイナの選定は、企業と同様に簡単にはいかない。上海在住の旅行会社勤務・向井典明さん(仮名・41歳)は話す。 「反日デモ以降、現地の小学校に通う息子が嫌がらせを受けたことをきっかけに帰国した40代の知人がいるんですが、日本での生活も順調ではない。彼は物流会社の営業部長で、中国語もペラペラなんですが、中国語人材のポストは留学生上がりの中国人に占有され、再就職もままならない。結局、彼は今、ハローワークで見つけた遠洋漁業の仕事をしています」  今後、日本では中国からの“帰国難民”が大量に発生する!? <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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