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「競技かるた」 試合前の調整はアスリート並

なでしこジャパンのW杯優勝は確かに素晴らしかった。でも、日本にはまだまだすごい人たちがいる。世間ではあまり知られていないけど、実は世界で活躍しているマイナー競技の“偉大なチャンピオン”たち。その奮戦ぶりと日々の鍛錬、競技への情熱を、しかと見よ!

【競技かるた】
西郷直樹さん(名人位決定戦13連覇)

◆最初の一文字を発音する直前に微妙に漏れる音を聞き取る

競技かるた名人位決定戦13連覇・西郷直樹さん

西郷さん(左)が競技かるたを始めたのは小1。小4ですでに4段を取得、名人戦出場資格があった

競技かるたの名人戦は、四段以上を取得した男性が対象で、予選を勝ち上がった挑戦者が名人と勝負する。西郷直樹さん(33)は最年少記録の20歳で初勝利し、以来なんと13連覇。従来の記録10連覇を超え、前人未到の記録を更新中だ。

「勝つためには歌を詠み始める前の瞬間が大切です。最初の一文字を発音する直前に微妙に漏れる音を聞き取って、どの歌かを判断する。また、これはカンに近いものだと思うんですが、慣れてくると『次あたりにこの歌が詠まれるかな』と、わかるようにもなります」とは、もはや超人の域!

とはいえ、10度目の名人戦からは苦しい戦いが続いているという。

「挑戦者がぐっと若返ったんです。若い人は体力や瞬発力が優れてますから。加えて私自身、練習に割ける時間が減ってしまって。だから今は割り切って、本番までの3か月だけ集中して練習するスタイルに。最初の1か月で体を戻す。座って構える姿勢に慣らしたり、増えた体重を絞ったり。うっすら肉がついてる状態でも札を取るときの感覚がズレるので」とは、まるでアスリートのようだ。

一方で連覇記録を達成してからモチベーションが低下したとも。

「そろそろ後進の指導に回ってもいいのかなと。でも、悔しい負け方をしたら、また火がつくかも(笑)。体力やスピードが落ちたとはいえ、本気で鍛えて練習すれば当分負けない自信はありますから」

そう言えちゃうところが、王者の証しってことかもね。

取材・文/石島律子 漆原直行 昌谷大介
撮影/浅沼 勲 塩川真悟

― 知られざる偉大な日本人王者大集合【9】 ―

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