“ダメなダイエット”で5kg減量!
世の中に数々のダイエット方法はあれど、すべてに共通するのは「健康的にやせなければ意味がない」ということ。カロリーを抑えつつ、バランスの採れた食事をし、適度に食事をし、睡眠をする。これが、ダイエットの王道である。
一方、一番ダメなダイエット方法とよく言われるのが「過剰な食事制限」。栄養バランスを崩して身体が飢餓状態になり、ちょっとした食事でも脂肪を貯めようと逆に太りやすい体質になると言われており、リバウンドしやすい。また、ストレスがたまりやすくなり、拒食症や逆に過食症になるパターンもあるという。
そんなことは、本誌のダイエット特集などで重々承知の上、偶然からではあるが2週間、1日1~2食、ほとんど野菜しか食わないという生活をしてみたら、どうなったか。リポートしたい。
年齢36歳、身長169センチ、体重80.5キロ。30歳を超えたあたりでラーメン道楽にはまり、週に最低1食、過激なときは1日3食ラーメンを食べるような食生活を送っていたらすっかりと太ってしまった。腹にはでっぷりと脂肪がつき、周囲からも「太ったねえ」と驚かれる始末。
常々、「このままではやばいな」と思っていたものの、仕事帰りの一杯(ラーメン)の味が忘れられず、ダイエットに踏みきることはなかった。実は20代のときに炭水化物抜きダイエットと毎日ジムに通って1か月で9㎏落とした経験があり、「まあ、いざとなったら痩せられるさ」と高をくくっていた部分もあるのだが、今回は「運動なし」でのチャレンジである。
きっかけは偶然からなのだが、2週間前のこと。入稿作業で24時間以上、食事を採らないままハイテンションで仕事をしていると、空腹を通り越してまったく何も感じない状態に突入。一昼夜を会社で過ごし、終電で帰り、自宅近くで仕事帰りの一杯(このときはカレー)を楽しんでいた。ところが、いつもならペロッと平らげてしまうカツチーズカレーが、食べきれない。なんとか胃袋に押し込めたが、「あ、これ胃が小さくなっているな」と気付き、「しばらくサラダしか食べない生活をしたら痩せるかもな」と思いついた。このときは、長続きしないだろうな、と思っていたものの、翌日からコンビニでサラダだけを買ってきて食べてみると意外に空腹感に苛まされることがない。
「何だ、いけるじゃん」と続行したものの、3日後に最大の空腹感が襲ってきた。実はこの日は日曜日で、特に妻にダイエットにチャレンジをしていることを告げていなかったので(すぐに挫折すると恥ずかしいから)、夕食にコロッケなどの油ものが出てきた。まあいいか、と普段なら3つぐらいペロッと食べているところを一つだけ食べ、食後にのんべんだらりとソファに寝そべっていると腹が減って仕方がない。この3日間、ほとんど空腹を感じなかったというのに、どうやらコロッケひとつで脳みそが過去の油まみれの食生活を思い出してしまったようだ。どうにも耐え切れなくなり、この日はコンビニでスナック菓子を買ってきて平らげてしまった。
この挫折経験が、このあとの過激な食生活のトリガーになった。ほんの軽い気持ちではじめたサラダ生活なのに、「ああ、オレはダメな人間だ。もう本当にサラダしか食わん!」と一人で勝手に盛り上がり、会食などで食事をするときに刺身などの魚料理をちょっとつまむ以外はサラダオンリー。すっかり各コンビニのサラダの味の違いに詳しくなってしまった。
だが、やはり意外と空腹感は感じず、開始1週間で体重が落ち始める。
計算してみると毎食食べているコンビニサラダは約50kcal。ドレッシングが種類によって異なるが20~120kcal。1食あたり200kcalに届かない。多めに見積もっても、1日2食で400kcal。デスクワークをしている30代男性の1日の摂取カロリーの目安が2200kcalというから、こりゃ痩せるわけだ。
開始10日目ごろから急激に体重が落ちるようになってきたが、同時に頭の働きが悪くなってきた。その日は朝から打ち合わせだったのだが、ファミレスでメモを取っているとなぜか漢字が書けない。思い出せないのではなく、なにかよくわからない漢字を書いている。同席していたライター氏にそのことを告げると、「そりゃそうでしょ。脳みそに糖分がまわっていないんだから」と言われる。うーん。確かに。
でも、世の中にはベジタリアンという人たちがいるわけだから、あの人たちはどうやって栄養を取っているのか、と調べてみたら乳製品や卵などを食べてきちんと栄養バランスを考えているらしい。乳製品や卵をとらないビーガンという人たちも、サプリメントやきちんと計算された食事などをしているそうで、こんなサラダしか食わない青虫みたいな生活はしていないということが判明。
慌てて、揚げ物の中で一番カロリーの低いイカの揚げ物を注文し、栄養素を摂ろうとしたら油で気持ち悪くなってしまった。以前ならこんなことは絶対になかったのに。
これ以上、こんな生活はムリだな、と家に帰って体重計に乗ってみると、なんと体重が75.6kgになっている! 2週間で約5kg減だ。だが、肝心の腹まわりはまったく引っ込んでいない……。別に顔まわりが痩せた印象もない。いったい、どこの肉がなくなっているのか。
腹まわりの肉がひっこむのは、人体の中でも一番最後らしく、このままでは腹が出たままフラフラになっていくだけ。やはり、健康的に痩せるのはバランスのとれた食事と運動、ということを図らずも証明してしまった2週間であった。
文/織田曜一郎(本誌)
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ