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“リア住”蝉丸Pが説く「40歳からの老いの受け止め方」

日常的に使われる「四苦八苦」という言葉。仏教用語であり、四苦とは「生・老・病・死」を表すという。老いはやはり、人間にとっての大きな苦しみのひとつ!? 仏教では老いをどう受け止めよと説いているのか? ニコ動での「仏教講座」で話題の真言宗僧侶、蝉丸P氏に話を聞いた。

◆明けない夜はないが、暮れない昼もないんです

蝉丸P氏

蝉丸P氏

「すべてのものは常に移り変わるものであり、とどまるものではない――この“無常”という考え方が、仏教の基本的な教えです。しかし、最近の人はこの無常に対しての免疫がないように思います。仏教では、体の苦しみ、心の苦しみ、そして、変化に対する苦しみという3つの苦しみがありますが、なぜ、変わることが怖いのかといえば、それは『ずっと、今が変わらず続く』と思いこんでいるからです。しかし、よく『明けない夜はない』なんて言いますが、『暮れない昼もない』んです」

 我が身に起こった老化という変化への戸惑いも、そもそもは、自分はいつまでも変わらない若い体や気持ちを持ち続けられるという思い込みがあるから。

「間違ったモノの見方をすることを仏教では“常見”と言いますが、自分は変わらない、変わることができないと決めつけていると、そこからどんどん思い通りにならないことが増えていきます。変化は苦ですが、変化をするからこそ変われるということでもある。無常を理解すると、その場、そのときに適合していこうという努力に繋げていけるんですよ」

 とはいえ、頭でわかっていても、その“無常”を悟るのは難しい。

「そういうものだと思えばいいんです。だって、不老不死の国はないんですから。自分にとって都合のいいことばかりを考える“妄想”をいくら続けていても、現実はどうやっても違うわけだし、いつかは気づくはず」

 だからこそ、自らの老いの兆しに一喜一憂するより、「40歳を過ぎたら自分の親の葬儀のことを考えろ」と蝉丸P氏は苦言を呈す。

「死は究極の変化です。そして、それは若かろうが老いていようが、それこそある日、突然に訪れる変化です。いつ来るかわからないリミットまで前向きにどう生きるか。『老い』も『死』も見たくないものでしょうが、柔らかいキャッチの仕方はないんです。自分だけは変わらないという手前勝手な見方をやめるのが大事なんです」

【蝉丸P氏(40歳)】
僧侶、“リア住”(=リアル住職)を名乗り、ニコニコ動画にて「仏具で演奏してみた」や「仏教講座」などの動画を作成し幅広い年代から支持を受ける。著書に『蝉丸Pのつれづれ仏教講座』(エンターブレイン刊)がある

取材・文/田山奈津子 志賀むつみ 古澤誠一郎 撮影/落合星文 イラスト/ミラクル沼尾
― 40歳からの[正しい老け方]研究【8】 ―

蝉丸Pのつれづれ仏教講座

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