モテるオヤジになるための「金の使い方」
50過ぎてもバリバリ現役のオヤジたちに、“オヤ充”(リアルが充実しているオヤジ)になる極意を聞いた。読めば、オヤジになるのが怖くなくなる!
◆オヤ充の極意「“カネ遣い”で、新たなインターフェースを獲得する」
オヤ充の極意は“カネ遣い”――そう提言するのは、作家の藤原敬之氏。ファンドマネジャーとして累計5000億円を運用してきた経歴を持つ一方で、道楽者として、数々の逸品にカネを注ぎ込んできた。魯山人の箸置きに20万円、江戸時代から続く老舗・村田眼鏡舗のメガネ(ホワイトゴールド仕立て)に80万円!
「カネ遣いというのは、単に物欲を満たすことではありません。その本質は、モノや経験を通してインターフェースが開かれること。つまり、モノを媒介にして興味や関心が広がり、新しい世界への扉が開くことなのです」
オヤジになると、ついルーティンな行動をとりがち。世界が閉じていてはモテるわけがない。
「オヤ充を目指すなら、身の回りのもの、ささやかな日用品にこそカネを使うべき。酒好きならば、晩酌用のロックグラスをバカラにしてみる。すると、『飲む』という行為が新たなインターフェースとなります。いいスピリッツを飲みたくなる。ふさわしいつまみを探したくなる。照明に凝りたくなる。自然と興味も広がります」
そう言われても何にカネをかけるべきかピンとこない……そんな人は、まず「靴」を買ってみよう。
「例えばジョン・ロブのような、本物の靴です。最初に買うなら、いつもの靴の2.5倍くらいの値段からスタート。ただし、高い靴なら何でもいいわけじゃない。本当にデザインや質感が気に入ったものしか買ってはいけません。いい靴を手に入れると、大切に手入れをするし丁寧に履く。その結果、自然と優雅なふるまいが身につくんですよ。伊丹十三はエッセイ『女たちよ』の中で、『お洒落というのは下半身で決まる』と語っています。つまり、靴・靴下・スラックスさえ上等ならば、上着は何を着てもお洒落に見える。お洒落にしていれば、不思議と背筋が伸びますし、高級店に対しても気後れしなくなる。これまで足が向かなかった、ちょっといい店と出会う機会も増えるはず」
文房具もオススメだ。
「いい手帳といい筆記用具にカネを使う。そして、日々の中で自分の心に残った言葉を書き留める。こうして手元に残った“座右の銘”は、否応なく血肉になりますよ」
ただし――と釘を刺す藤原氏。
「オヤ充としてのカネ遣いを身につけたければ、決してローンに頼ってはいけません。 『ローンなら○年早く手に入れられる』といった考え方もありますが、憧れる時間の楽しさを失っているとも言えます。それに、簡単に手に入れたモノの絶頂感なんて、手に入れた一瞬だけですよ。その後に残るのは、価値の目減りしていく“ただのモノ”でしかありません。やはり、思い入れを持つからこそ、その世界を広げたいと思えるわけですから」
<オヤ充の金言>
・ささやかな日用品にこそカネをかけるべし
・モノにカネをかけると、モノを媒介にして興味や関心が広がっていく
・買うものが思いつかなければ「靴」か「文房具」を買ってみよう
・欲しいものをすぐ買うのではなく店頭にしばらく通って「憧れ」を醸成せよ
・ローンに頼るのは絶対やめろ
<オヤ充のコワザ>
デートに使うなら、カウンター席の天ぷら屋に勝るものはない。対面テーブルより親しいムードに加え、天ぷらが揚がるテンポもデート中の会話に最適。鮨屋では早すぎる。季節の食材で話が盛り上がるのもいい。
【藤原敬之氏(54)】
’59年生まれ。農林中金、クレディ・スイスなどで株式運用に携わった経歴をもつ。近著に『カネ遣いという教養』(新潮新書)。波多野聖名義で『銭の戦争』シリーズ(ハルキ文庫)ほかの小説がある
― 50歳過ぎてもモテる[オヤ充(リア充なオヤジ)]入門【3】 ―
『カネ遣いという教養』 身銭を切らなければ己は磨けない |
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