永作博美「頭で考えることはやめました」
数々の受賞歴が示す通り、女優として高い評価を得ている永作博美さん。
ほんわかとしたイメージからは想像がつかないが、素顔は一本筋の通った仕事人であった。10代でアイドルとして芸能界入りし、その後は女優として、40代の現在まで順風満帆にキャリアを重ねているように見えるが、本人は否定する。
「順風満帆なんかじゃないですよ、全然。30歳ぐらいの頃かな。私、この道はちょっと違うのかなって思っていたぐらいですから」
20代の頃はとにかく頭の中を回転させながら「台本を何度も読み込んで、セリフを頭に入れて、監督さんや共演者さんに上手に見えるように」撮影に臨んでいたという永作さんだが、ある時期から自分のやっている芝居がつまらなく思えてしまったという。
「20代後半から、31、32歳の頃はずっと演技しながら、違う違う違うってもがいていたんです。一生懸命、別の方法がないか探して、変えていこうとしてましたね」
具体的にはどのように変わったのだろうか?
「うーん、なんだろう。全体を通して台本を読むのはほぼ1回だけですね。イメージとか雰囲気とかは、1発目のまま壊さないようにしたいんです。頭で考えることは、ある頃からやめました。そうすると、お茶を飲む仕草でも佇まいが違うんです。台本を読み込んでいた頃は、例えばお茶を飲むシーンでも、“お茶を飲むよりもセリフ”だったんですけど、今は多分、お茶を飲むシーンならお茶を飲みたいと思ってそこにいます」
このような変化は映画の世界に行ったことも大きく影響しているという。
「映画監督さんってみんな自分の世界観を持っていて、ある意味、すごく特殊な方々なんです。彼らが求めているのは、全然“完全なセリフ”じゃないんですよ、間違いなく。だって実際、『セリフは覚えなくていい』とか『台本はもう忘れてください。見ないでください』って、さらっとおっしゃる監督さんもいるぐらいですし」
<本誌構成/昌谷大介(A4studio) 撮影/タイコウクニヨシ 再構成/SPA!編集部>
※とはいえ、「演じ方を変えるときはやはり怖かった」と語る永作さん。その具体的な変化は、現在発売中の『週刊SPA!』3/11発売号の「エッジな人々」で存分に語られている。ぜひ、ご確認を!
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