【内臓脂肪から減る究極ダイエット】週末断食に挑戦
欧米ではダイエットとしてのファスティング(fast【断食する、精進する】の名詞形がfasting)がブームを超え、スポーツジムやヨガのように定着しつつある。
日本で断食というと、一般的にはお寺などで行う精神修行のイメージが強い。と思っていた筆者であるが、既に日本でも女性の間ではかなりメジャーな存在らしい。最初は都心部の新し物好きの女性(SACTの日本版のような人々。アパレルのプレス関係者や女性誌の編集者など)の間での口コミレベルであったそうだが、数年前から女性誌でこぞって取り上げられたこともあり、現在ではいわゆる普通のOLの間でもファスティングはメジャーなダイエット法の1つになりつつある。最低限のカロリーやビタミン等を専用ドリンクで補いながら、2~10日程度の絶食をするこのダイエット法は、デトックス効果もあり、単なる痩身を超えた効果があるとも言われている。
学生時代は50kg台だった体重も、社会人の不摂生から気づけば70、80kg台なんていう読者も多いだろう。そして、「もう、ダイエットは諦めた」と開き直る……。筆者もそんな一人であるが、今の体型ははっきり言ってヤバい! 「断食こそ究極のダイエット」と決意するものの、日常生活の中での断食は無理すぎる! そこで今回は施設の断食に頼ることにした。
1月某日。土曜朝食をとらずに、東北新幹線で向かった先は、栃木県・那珂川町にある「ういぐいすの森ゴルフクラブ&ホテル馬頭」。そこで行われている「OPTIASファスティングプラン1泊2日体験コース(http://www.optias.jp/ 2万8000円・ゴルフ代付き・交通費別途)」に参加した。
15時チェックイン後、参加者には清潔なリゾートホテルの個室が与えられ、温泉に入る者、読書したり、PCで仕事をする者など、思い思いの午後を過ごす。19時になるとセミナールームに集合。バナナ系と人参系の専門ドリンク2種類を飲む。糖、梅干し、おろしショウガ、スライスレモンなどを少量齧りながら、セミナーが始まる。まずはそれぞれ自己紹介。ベンチャー企業経営者やコンサルティング会社勤務、医師などの参加者が多い。そして、OPTIAS代表・中村真一郎氏が、ファスティングのメソッドを説明する。
「30代を過ぎて急に太り出した人は、習慣で過剰なカロリーを摂取してしまっています。朝昼晩とガッツリ食べるという行為は本来の状態ではなく、単なる習慣なのです。代謝が高く、運動をしていた10代の頃、朝ご飯をたっぷり食べ、給食を食べていた頃の習慣が抜けてないだけ。脳は食べたいという信号を送っているものの、身体自体は実は食べなくても大丈夫なんです。そんな間違った習慣を是正するのがファスティングなのです」
そう語る中村代表は、BMI25を一つの基準とする身体のメカニズムを説明した後、こう続ける。
「ファスティング中はセミナーに参加している同志がいるので、食べることを我慢できます。しかし、ポイントはファスティング後なのです。私は、朝は野菜ジュースなどを飲み、昼はお蕎麦などを軽く食べて、夜は好きなだけ食べる。ご飯などの御代わりは少々控える。お酒は飲んでも問題なし。働き盛りの社会人たるもの、夜の会食に同席できないでは済まされないので。夜は大いに食べて、呑んでください。これだけできれば30~40代の男性で70kg以上ある人は、どんどん痩せていきますよ」
今回のツアーに同行した医師の柴田光昭氏(仮名)はファスティングの効果ついて説明する。
「脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪に2種類があり、いわゆるメタボと呼ばれる生活習慣病に直結しやすい脂肪が内臓脂肪であることは結構普及している知識だと思います。食事制限だけのダイエットだと筋肉が落ちてリバウンドを心配される方も多いですが、なんと男性の場合では内臓脂肪の貯金がある方は、最初の数kgは内臓脂肪から優先的に燃焼していくことが分かっています。
ダイエット初期は内臓脂肪が数kg落ちると見た目にも分かる位お腹まわりがすっきりしますし、健診でもちょっと高血圧や高脂血症、高血糖を指摘され始めた人の何割かはこの時点で血液データ上も改善を認めます。継続的な努力は小さな成功体験の積み重ねが重要ですが、この第一歩として初期の結果が出やすいのは中年男性のダイエットのきっかけ作りには良い方法だと思います。現在女性の間ではファスティングはブームになってきてはいますが、ダイエットのきっかけ作りとしてはある意味むしろ男性の方におすすめの方法かもしれません(むろん中長期的には日常の食生活や運動習慣などが大切です)。
そして、日常の中で行うと大変ですが、施設で行うと同志もいて、成功率が高くなります。ハリウッドスターがダイエットに成功するのはトレーナーという他者がいるからなのです。こういったツアーは、同志がトレーナーと役割にもなります」
セミナー後は、参加者がダイエットについて語った後、趣味やビジネスの話で大い盛りあがる。酒を酌み交わすことで親睦を深める方法(いわゆる宴会。ダイエットの敵)は確かに魅力的ではあるが、毎回それでは面白味にかける。筆者自身今回の体験で「同じ釜の飯を食わなかった仲」の結束感の高まりの早さを実感した。この方法は案外企業の合宿研修なんかにも向いてそうだ。中村代表にそう話してみると既にそういう企画はあがってきているらしい。セミナー後は、その日2回目の温泉へ。23時過ぎに部屋に戻り、空腹を忘れて熟睡した。
二日目朝6時起床。6時30分から起きることができたメンバーで周辺を散歩。8時、昨晩と同じ専用ドリンク等で朝食を済ます。ここから、また思い思いの一日を過ごすのだが、メンバーは大きく2つに分かれ、併設しているゴルフコースをラウンドするか、ヘルスヨガを行うチームに別れる。両方とも空腹を紛らせながら、身体を鍛えるという合理的なオプションである。筆者はゴルフを選択。飲まず食わずのゴルフは初体験だったものの、昨晩から断食しているメンバーとのラウンドは一体感が出る、ラウンドとなった。でも、力は入らないので、スコアはイマイチだったが……。
体験コースのため、二日目の夜に帰京したが、通常コース(4万9000円)は月曜日の朝までが一般的だ。ファスティング後も、メンバーのfacebookページがあり、減量状況を報告し合うなど、コミュニケーションが続く。実際に、ツアーに参加して、3~4kg減り、食生活改善で2か月で7kg減。夫婦で出て夫は3か月弱で12kg痩せたなどの報告がある。
格言う筆者は64kgで参加。1泊2日で61kgとなり、その後の食習慣の改善で現在は61kg前後をキープ。体重もさることながら、内臓脂肪が減った効果で胴回りが細くなり、アンチエイジング効果も実感している。何より、セミナーを通じて食に関する考え方を改められたのがよかった。
断食というと、何やら怪しいセミナーもあるが、実際には参加の自主性を尊重しながら参加できる大人な感じのツアーであった。また、中村代表が言うように「勝負は週末断食ツアー期中ではなく、その後の生活にある」のは間違いない。それでも、学生時代のような健康的な身体を取り戻すのに、特別なダイエット商材を買うよりは、効果的な体験であった。 <取材・撮影/日刊SPA!取材班>
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