雑学

トップパティシエが「子供しか入れない施設」をつくった理由

小山進氏 1500坪の敷地面積に約220人のスタッフを擁する「パティシエ エス コヤマ」。豊かな自然が残る兵庫県三田市の住宅街にあるこの店を率いる小山進氏は、今や名実ともに日本を代表するトップパティシエの一人だ。小山ロールをはじめとする多彩な洋菓子を求め、連日、全国からファンが押し寄せる。さらに世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ パリ」内のコンクールにおいて、‘11年から3年連続で最高ランクの評価を獲得するなど、ショコラティエとしても高い評価を得ている。

 そんな小山氏が昨年12月につくったのが、子供しか入れない「未来製作所」という施設。だが、なんと客単価は300円で、一日の売り上げはこれまでの最高で10万円、平日は1万5000円ぐらいという採算度外視の施設。どうしてそんな施設を作ったのだろう?

「入社希望の学生や高校生たちと話をしていると、日常の中から発想のタネを見つけて人に伝える能力が年々低くなっているような気がします。なぜかというと、我々の子供の頃のように親だけじゃなく町内の大人の方々に話を聞いてもらう機会が少なくなってしまった。自分から発信すること、表現することをあきらめているコが本当に多いんですよ。僕らの幼少期は、地域が子供と関わりを持っていて、何か見つけて『見て! 聞いて!』って言ったら、オカンや近所のおっちゃんが聞いてくれて、褒めてくれました。毎日、褒められるような1日を送り、自慢話の練習をしてきたわけです。でも、今の高校生や20代は子供の頃にそういう経験が非常に少ない。それが大きな問題だと思います」

「子供しか入れない」というコンセプト自体が、子供と大人のコミュニケーションを生み出すのだという。

「あの中に子供しか入れないから、大人は話を聞きたいって欲求が生まれますよね。出てきた子供に対して『何があった?』って聞くから、子供たちは『教えてあげようか?』ってしゃべりだす。子供と大人を繋ぐ接点になるような場所をつくりたかったんです。また、パッと見のデザインが、なんか近未来的で実験室みたいな感じで、もし大人が入っても絶対に楽しいと思うくらいのレベルでつくりたかった。中でしか売っていないパンケーキとかできたてのケーキとか買えますが、それだって大人の方がうらやましくなるレベルです。親が欲しがって、子供たちが『これ俺らしか買えんから、オカンの分も買ってきたろか』って自慢ができるようなレベルじゃないと失敗なわけですよ。別に商売でやっているわけではないです。このままじゃ日本から素晴らしい表現者が生まれなくなってしまうんじゃないかなあと思って、こういう場所を絶対につくらなきゃいけないと思ったんです」

※小山氏の熱いこだわり、思いは、3/25発売の『週刊SPA!』の「エッジな人々」にて、存分に語られている。ぜひ、確認してみてほしい。

<本誌構成/山本啓介 撮影/尾藤能暢 再構成/SPA!編集部>

週刊SPA!4/1号(3/25発売)

表紙の人/桜庭ななみ

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