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【理想的な50代社員像】衰えを悟り後進に道を譲る

やれ、「ゆとり世代はガッツがない」「バブル世代はお調子者で仕事ができない」「団塊世代はもらうだけもらった逃げ切り世代」……。とまあ、世代間のディスり合いは常に不毛なものだが、実は今、こっそり会社でお荷物となり疎まれているのが「50代」だという。昭和の“企業戦士”の最後の世代、気づけば“老兵”となった彼らが巻き起こす混乱を見ていこう。 ◆自らの衰えを客観的に判断。仕事の継承に注力する大人力 50代社員,健康,老い 某重工業メーカーの課長職にある有森貴志さん(46歳)は、半年に1回の面談で、ある50代の部下からこう提案された。 「本当に申し訳ないのだけれど、俺も年で薬を飲みながらなんとかやってるけど、もう、昔のように3つ4つと同時に現場を回せなくなった。正直、責任を持って担当できるのは2社が限界なんだ」  この年上部下は、30代後半に関連官庁へ出向。タイミングの悪さと、出向先で上司に恵まれなかったという不運が重なり、本社に戻ってきたときには、昇進の年齢制限オーバーで課長になれず。有森さんの部下となり、直後の健康診断で高血圧を指摘されていた。 「体調が悪いなら、どこまでできるのかわかるのは本人だけですから、自分から言ってくれるのはありがたいですよ。しかも、これまでご自身が担当してきた取引先について、期待されている若手を指名して、『彼を主担当にして俺を副担当にしてほしい』『俺がいる間に、ちゃんと引き継いでいきたいんだ』とも言ってくれて。この顧客は特殊な作業もある取引先だったので、先々を見据えての提案は、本当にありがたかったです」  一方で、有森さんの部下には、課長まで務めながら、役定後は勤務時間中の散歩を日課として、近所のスーパーの特売情報を毎日報告してくる人、仕事を振られたくなくて、職場で有森さんと絶対に目を合わせない人……そんな50代もいる。「五十にして天命を知る」(孔子)はなかなか難しいのは確かではある。が、衰えを悟り後進に道を譲る……かくありたいひとつの見本と言えるのでは。 ― 50代[不良在庫社員]の大迷惑【6】 ―
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