簡単にクビにはならない「50代ヒラ社員」問題
―[50代[不良在庫社員]の大迷惑]―
やれ、「ゆとり世代はガッツがない」「バブル世代はお調子者で仕事ができない」「団塊世代はもらうだけもらった逃げ切り世代」……。とまあ、世代間のディスり合いは常に不毛なものだが、実は今、こっそり会社でお荷物となり疎まれているのが「50代」だという。昭和の“企業戦士”の最後の世代、気づけば“老兵”となった彼らが巻き起こす混乱を見ていこう。
◆顧客に謝らない部下を叱れない、ヒステリーな50歳主任係長
高橋優さん(仮名・29歳)は中堅の旅行代理店の営業マン。威張ってばかりの50代の上司に対し、腹に据えかねている。
「以前、お客さんへの発送物の印刷が間に合わず、取引先からクレームが殺到したことがあったのですが、自分は指示も出さずにのらりくらり。部員みんなで必死で謝罪しているのに、頭を下げるわけでもなし。あげく、鳴りやまない電話にテンパってヒステリーを起こす。一事が万事、こうなんです」
トラブルを避け、イヤなことは人に押し付ける。上や女子社員には媚びつつ、下にはいばり散らす。
外線はもちろん、自分への内線も取らず、気まぐれで取ったときには子供のように受話器を「ほれ」と手渡すだけ。華美すぎるし危険ということで禁止されている女子社員のデコネイルに対しても、注意ひとつできず、言いやすい男性社員にばかり仕事を押し付ける。
そんな調子なので、当然、評判は下がる一方で……。
「去年、課長から主任係長に落とされたんです。さすがに、人事の発表があったときは、落ち込んでいました。そのあと、彼より社歴の浅い40代の課長が上司になって。年下課長もこのジャイアンに気を使って、彼がカッとなるとなだめたりしているんですが……正直、かなりギクシャクしていて、今度は課長がイライラし始め、空気を読んだ女子社員が課長を慰めたりしてますよ(苦笑)」
部署内ではすでに“腫れ物”扱い。とはいえ、そう簡単にクビにはならないだろうという。
「実は、ほかにも仕事ができない50代ヒラ社員が何人かいるんですよ。彼らが40代のころ、リストラがあって、課長や課長代理がヒラ社員に落とされることになったんです。ほとんどの人はそのときに辞めて、今、いる人たちは言わば、その残党。転職よりも降格人事を受け入れた人たちで、当然、やる気は皆無。だけど、会社としては波風立てず定年まで飼ってあげようという方針なんだと思います」
― 50代[不良在庫社員]の大迷惑【3】 ―
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