アルピニスト・野口健が緊急提言!尖閣諸島を守る切り札
激増する中国公船の領海侵入を牽制するため、環境省が尖閣への環境調査を前倒しで実施する。これを機に尖閣問題は一気に動きだすのか。10年前から尖閣の自然保護に取り組むアルピニスト・野口健氏が秘策を明かした!
領土的野心を隠さない中国の海洋進出がエスカレートしている――。10月11日には尖閣諸島沖の日本領海に中国公船2隻が57時間にわたり侵入。’12年の尖閣国有化以降、最長となり、領海侵犯の件数は過去最高レベルに達している。
そんな折、環境省が尖閣諸島の動植物の生態調査を前倒しし、年内にも実施する方針が明らかになった。尖閣諸島には天然記念物のアホウドリ、稀少固有種のセンカクモグラなど11種が生息する自然の宝庫だが、動植物23種が絶滅危惧種に指定されるなど、生態系が脅かされている。
18日、小泉進次郎環境相は会見で「尖閣に対するさまざまな状況を考えたとき、日本としても何もやらずにいるわけにはいかない」と強調。今回、調査を前倒しすることで、日本による尖閣の実効支配が揺るがないことを、中国政府に対してアピールした格好だ。
「環境調査」をテコに尖閣へのコミットを強める――。この戦略的なアプローチを10年も前から試みてきたのが、アルピニストの野口健氏だ。’10年に「センカクモグラを守る会」を立ち上げると、その後、センカクモグラを守る議員連盟も設立され、尖閣への上陸調査を繰り返し要請してきた。
▼センカクモグラ
魚釣島固有のモグラ。歯の数が少ないのが特徴で、日本のモグラが42本(44本のものも)なのに対して38本しかない。
▼セスジネズミ
小型のネズミ類。背中にある黒い筋からこの名前に。大陸に広く分布するが、魚釣島の個体は臼歯の大きさや染色体に差異が見られる。
▼アホウドリ
飛行できる最大級の鳥類。世界的に激減している。日本では、伊豆諸島の鳥島、尖閣諸島の北小島、南小島でのみ繁殖を確認。
▼アオツラカツオドリ
ウミネコよりもかなり大きい鳥類。食用目的の狩猟により減少。日本では、亜種アオツラカツオドリが尖閣諸島および西之島で繁殖する。
▼アオスジトカゲ
日本では尖閣諸島の魚釣島、南小島、北小島などに分布。中国にも分布するが、尖閣の個体群は小型で体色やウロコに変異が見られる。
▼シュウダ
ナミヘビ科のヘビ。危険を感じると悪臭を発し、和名の「臭蛇」の由来に。尖閣のシュウダは生息域が限られ、絶滅危惧種に指定
▼センカクサワガニ
尖閣諸島魚釣島のみに分布する固有種。琉球諸島や台湾に分布するサワガニ属の近縁種と見られるが、明確に区別される特徴をもつ。
▼センカクツツジ
高さ1mほどの常緑低木。原産は尖閣諸島魚釣島の固有変種だが、沖縄本島などで育てられ、鉢植えを購入することもできる。
▼センカクアオイ
カンアオイ属の多年草。尖閣諸島の魚釣島のみに分布する日本固有種。沖縄本島でも、保護目的で少数だが育てられている。
▼センカクオトギリ
60㎝ほどの低木で、魚釣島のみに分布する日本固有種。断崖の風衝地に生育する。鉢植えなどが販売されている。
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