更新日:2015年05月29日 17:36
エンタメ

Juice=Juice宮本佳林とTV番組キャラクター・コピンクにみる物語性

<ニンテンドー3DS『ヒーローバンク』でシナリオを担当した人気ゲームプロデューサー・結城昌弘氏のアイドル考>  前編(https://nikkan-spa.jp/624476)では、スマイレージを軸に「ナラティブ」(=置かれたトピックの行間から物語を“感じる”)というキーワードでアイドルの持つ物語性について触れましたが、今回は別の例を挙げて、もう一考してみたいと思います。  皆さん、「コピンク*」というキャラクターをご存じでしょうか? これは、静岡朝日テレビの番組「ピンクス(http://www.satv.co.jp/0300program/0095pinkss/)」ならびに派生番組「コピンクス!」に登場するナビゲーターキャラクターでして、このコピンク*が2011年に「カリーナノッテ」という曲を出しました。リリースされるや、Amazonダウンロードランキングで1位を獲得するなど、各方面で大いに評判を呼びました。  このコピンク*の声を担当していたのが、ハロー!プロジェクト所属のアイドル・宮本佳林でした。  宮本は、現在「Juice=Juice」というグループで2013年9月にメジャーデビューを飾り、現在も華々しく活躍していますが、2008年11月にハロプロエッグ(当時)に入り、既に今年で6年目というキャリアを持っていまして、ファンの間では、その総合的パラメータの高さから「ハロプロの至宝」とまで呼ばれている実力者です。 ⇒【動画】Juice=JuiceのトリプルA面メジャーデビューシングルから『ロマンスの途中』http://www.youtube.com/watch?v=rh8eeteWbHc
⇒【動画】同盤から『イジワルしないで抱きしめてよ』。通称“イジ抱き” http://www.youtube.com/watch?v=wCNV_wAx82Y
 ですが、その道のりは平坦ではなく、モーニング娘。9期~11期、スマイレージ2期の各メンバー選出オーディションに落選するなど、Juice=Juiceに至る過程までいくつかの挫折を経験して歩んできました。  コピンク*は、9期オーディション落選後の2010年11月から担当することになり、2013年の4月まで続けていきます。  つまり、その苦難の時期の大部分を一緒に歩んできた“分身”とも言える存在で、コピンク*が最初にリリースした「カリーナノッテ」という曲は、宮本の境遇と重なるような内容とも取れるのです。  ちなみに、そういった物語的考察は、ファンの間でも色々と上がってきています。ですが、「むしろそう思う方が自然」というレベルでシンクロしています。 「カリーナノッテ」の歌詞は、一人の少女が、今まさに“変身”を遂げようとしているモーメントを描いた内容で、それは「大人の女性になっていく」、あるいは「美しさを増していく」など、いくつかの解釈の余地があると思いますが、依田伸隆が紡いだ素晴らしいトラックによって散りばめられた“輝き”から、宮本がアイドルとして、ひいては一人の表現者として、華やかなステージに踊りださんとしている姿が自分には一番ビタッと重なってくるんです。これは宮本自身のバックボーンを知るが故にナラティブが作用したからでしょう。  作詞を担当した児玉雨子のサイト(http://kodama-ameko.com/)に掲載されている制作秘話などを読むと、この曲の起点は、携わった人たちそれぞれのイメージやフレーズが重なり合ってできた色合いが強く、決して宮本の“当て書き”で作られたものではないようです。  しかし、結果として立ち上ってきた像は、コピンク*であり、宮本佳林だったのではないでしょうか。前編のスマイレージは、事象と事象の行間に物語を垣間見ていましたが、今回の場合は、いわば“像と像の間”に物語があると思います。  ……いやー、それにしても!  とにかく聴いてもらいたいです!  詞と曲の完成度は言うに及ばず、宮本の透明感がありつつもメランコリックな心情がはんなりと乗った歌声は、彼女が憧れている松田聖子を彷彿とさせます。Juice=Juiceの時とはまた別の表情でもあり、またその時代性から考えても、彼女の唯一無二の瞬間を切り取ったものでしょう! コピンク*の楽曲群はアマゾンやiTunesストア、レコチョクなどから、あるいは『コピンクス!メロディーズ~star chart~』というアルバムで聴けますんでぜひっ!! (本文敬称略) ⇒【動画】「コピンクス!」OP(1stシーズン)。この「カリーナノッテ」をはじめ「ピンクス」関連楽曲は良曲揃い。すべておススメ!http://www.youtube.com/watch?v=F5r40PJYPBM
【結城昌弘】 ゲーム開発会社・株式会社プラネットG(http://planetg.jp/)所属のプロデューサー/シナリオライターでありDD。近作はニンテンドー3DS「ヒーローバンク(http://herobank.sega.jp/)」でシナリオを担当。アニメも月曜18:30からテレビ東京系6局ネットで放送中
コピンクス!メロディーズ~star chart~

Amazonダウンロード・ランキングで1位を独占し続けた謎のアーティスト、コピンク*のCDがリリース

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