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スマイレージにみる「アイドルと物語性」

スマイレージが7月15日、ついに武道館での単独公演をすることが決定した。
ニンテンドー3DS『ヒーローバンク』でシナリオを担当した人気ゲームプロデューサーの結城昌弘氏が、スマイレージ考を緊急寄稿した。


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 スマイレージ、祝!武道館単独公演! めでたい!

 メンバー、関係各位、そしてファン(自分含む)にとってはまさに「旅立ちの春が来た」といったところかと思いますが、ここに至るまでは山あり谷ありな「物語」がありました。

 今回は、そのスマイレージの足跡を辿りながら、そこからさらに「アイドルと物語」という、アイドル語りでは定番ともいえる視点についてあえて考えてみたいと思います。

 その前に、なんでゲーム業界の人間である自分がスマイレージのことを書くのかというと……単純にアイドル好きであるというのがそもそもの話なんです!

 と同時に、個人的に今年活躍を期待しているのがスマイレージなんです。今推さずしてどうするかという、一方的な使命感に駆られていた所、たまたまこういう機会をいただいたわけですが、原稿のテーマを探っていくうちに、はからずとも自分の仕事との接点を見つけることができました。それをこれからつらつらと書いていきたいと思います。

 ではまず、結成時から振りかえってみましょう。

 スマイレージは、モーニング娘。’14ら綺羅星のごとく輝くアイドルたちを抱えている「ハロー!プロジェクト」に所属するグループです。

 2009年に「ぁまのじゃく」でインディーズデビュー。この時の結成メンバーは和田彩花、前田憂佳、福田花音、小川紗季の4人で、いずれも「ハロプロエッグ(現・ハロプロ研修生」という育成機関から上がってきた面子でした。

⇒【動画】昔も今も変わらず眩しい「ぁまのじゃく」
http://www.youtube.com/watch?v=RgbY4xM9O_s


 そして、2010年には名曲「夢見る 15歳(フィフティーン)」でメジャーデビュー。同年の第52回日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得するなど、順調にキャリアを重ねていきました。

⇒【動画】個人的にはハロプロ史上でも屈指の名曲「夢見る 15歳」
http://www.youtube.com/watch?v=CzNd9EnGiIM


 しかし、ここからジェットコースターのような展開が始まります。

 2011年には新メンバーオーディションが発表され、同年8月14日には竹内朱莉、勝田里奈、田村芽実、中西香菜、小数賀芙由香の“サブ”メンバーとしての合格が発表されました(この時点では正式メンバーとしては合格となりませんでした)。

 さらに、8月24日に小川のスマイレージ脱退(ハロプロ卒業)が発表され、9月には小数賀が体調不良のために離脱という激動の夏が過ぎて行きました。10月にはサブメンバーが正式メンバーとして昇格したものの、前田が12月31日をもって脱退(こちらもハロプロ卒業)。2011年のド年末となり6人体制が固まりました。

⇒【動画】前田在籍時最後のシングル。「物語は続く」という一節にグッとくるものが……
http://www.youtube.com/watch?v=EOUi6tndJT0


 皆さん、ご自分の会社や関わっているプロジェクトなどで考えてみてください。

 これだけ二転三転するメンバーの入れ替えが行われるというのは、ややもすればスマイレージという“器”自体を破壊しかねない、まさしく“劇的な治療”です。

 しかし、その境遇に対して彼女たちは順応し、活動を続けてきたわけです。そこには表には出ない苦悩や自身たちの成長、努力があったはずです。そしてその先に、一つの結果が待っていました。それが武道館公演だったというわけです

※ハロプロ「ひなフェス2014」ベストフォトセレクション(http://nikkan-spa.jp/616800)

 このように激動の歴史をたどってきたスマイレージですが、こういったメンバーの変動などを含む「物語性」というのは、多かれ少なかれ様々なアイドルグループが持っています。

 ですが、ここで言う物語というのは、確定された「ストーリー」ではないということです。もちろん、プロデュースする側のコントロールもあるでしょう。ですが、フィクションとして作られた架空のものではなく、現実に存在する“生もの”を扱っているわけですから、100%計算通りの完璧なハンドリングはあり得ません。なので、最初から最後まで用意された世界ではない……わけですが、物語がそこにあるとも思います。

 これを考えるうえで引っ張り出したいのが、自分の居るゲーム業界でも最近聞かれる「ナラティブ(Narrative)」という捉え方です。

 ナラティブとは、直訳すれば「物語」なんですが、「ストーリー」とは意味合いが違います。

 定義については今現在でも様々な議論や解釈がありますが、ここでは自分なりの咀嚼で言いますと「置かれたトピックの行間から物語を“感じる”」ということです。

 先ほど私はスマイレージが武道館公演決定に至るまで様々な労苦があった“であろう”と書いているのは、スマイレージの物語に対してナラティブなアプローチをしている証左だったりします。というのも、実際、私は彼女たちを近くでつぶさに見ているわけではなく、断片的に表出する情報や体験から捉えているからです。そうやって自分なりに対象の像を構築していく(情報を整理していく)ことで、自分の中にスマイレージという存在が明確に浮かび上がり、物語を紡いでいる(補完している)というわけです。

 ややもすると「思いこみ」と受け止められてしまうかもしれませんが、あくまで客観的な視座です。身勝手な創作をするということではなく、厳密な線引きはないものの、ある種のゆるっとした共通するゾーンがあり、それに向けて発信者と受信者が共同作業をしていくということです。

 そうやって自分の内側から生みだしたものもバイパスすることもあり、対象を身近に感じる構造が生まれ、双方の間に強固な結びつきが生まれていきます。それが関係性の全てとは言いません。ただ、アイドルとアイドルファンの間にある繋がりの一筋には、このナラティブっちゃうフラグがあり、そこからのルートが介在しているのではなかろうかと思ったりする次第です。

 ということで、スマイレージの物語は、武道館を経て、さらに奥行きを増していくのではないでしょうか!

 ではここで、スマイレージの新曲、4月30日発売の16thシングル『ミステリーナイト! / エイティーン エモーション』をお聴きください!!

※本稿は後編(http://nikkan-spa.jp/630852)に続きます。 (本文敬称略)

⇒【動画】http://www.youtube.com/watch?v=gh6-f1EV_14

⇒【動画】http://www.youtube.com/watch?v=fAPI8PW2q-A

【結城昌弘】
ゲーム開発会社・株式会社プラネットG(http://planetg.jp/)所属のプロデューサー/シナリオライターでありDD。近作はニンテンドー3DS「ヒーローバンク(http://herobank.sega.jp/)」でシナリオを担当。アニメも月曜18:30からテレビ東京系6局ネットで放送中

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