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米国の独立リーグで戦う日本球界を去った選手たち

米国独立リーグ 昨季限りでロッテを退団し、マイナー契約でレッドソックスのキャンプに参加していた渡辺俊介投手(37)が現在、米独立リーグであるアトランティック・リーグのランカスター・バーンストーマーズでプレーしている。同チームには、元ヤクルトで昨季までオリックスでプレーし昨年10月に戦力外通告を受けた梶本勇介内野手(30)、阪神、日本ハム、オリックスでプレーした坪井智哉外野手(40)も所属している。

 日本球界を去り、米国の独立リーグで彼らは何を見つけたのだろうか。

※現在の環境について語った【前編】はこちら⇒http://nikkan-spa.jp/642180

◆「食中毒で眠れない日もあった。でも来てよかったと思う」

 日本とは違う環境の中で、ほかにも様々な苦労がある。一番辛いのは食べ物。米国でもニューヨークやロサンゼルスのような都市なら日本食を探すことに苦労はしないが、チームが本拠地を置くランカスターでは日本食になかなかありつけない。渡米して1か月で日本食が恋しくて仕方ないという状態になり、ようやくカップラーメンを手に入れると、それが無性に美味しく感じる。

 そんな中、梶本は数日前には重度の食中毒に陥ったという。

「チームのみんなと同じものを食べていたのに僕だけがなったので、何が原因だったのかまったくわからない」という状況で、夜中に何度も吐き、眠れない日もあった。日本から持参した薬を飲んでしのいだが、慣れない環境の中での体調管理は大変だった。

 遠征の移動も、やはり日本のプロ野球やメジャーリーグのようにはいかない。多くはバス移動で、本拠地のランカスターからニューヨーク州ロングアイランドに遠征したときは5時間以上もバスに揺られた。

 それでも梶本は「来てよかった。せっかく来ているんだから、そう思わないと」と前向きに話す。

 渡辺も、その姿勢は同じだ。

「思ったよりも楽しい、かな。びっくりしたのが、アメリカはビールの種類が豊富。いろんな味や香りの地ビールが多いです。そういうのを好きな人も多くて、遠征で行った先で試したり、ビール作ってる選手もいるくらいなんで、この前飲ませてもらったんですけど、すごい美味しくて。ビール好きは世界共通ですね、良い奴が多いです」と笑う。その表情から、今の自分の状況を楽しんでいる様子が伝わってくる。

「来てみないと分からないって、こっちに来た先輩とか同僚がみんな言っていた。今は、行かないと分からない、という意味がよく分かりました。野球の違いについては、マウンドが硬いというのはやっぱりありますけど、ボールに関してはマイナーとこのアトランティック・リーグに関しては、日本のボールに近いです。だから、こっちの人はマイナーリーグのボールを使っていて、メジャーに上がっていくんで、やっぱり同じように戸惑うんですよね。日本人選手がWBCで戸惑ったように。日本でボールをメジャーに合わせようということがありましたけど、そんなに神経質になることじゃないんじゃないかなと、こっちに来てやっていると思います。みんなそれなりに対応するし、対応できない奴はメジャーに来るなと。そういうことなんだなと思って」

 渡辺はそう言うと、チーム練習が行われているグラウンドへ飛び出していった。

 メジャーもマイナーも独立リーグも、米国の野球の練習風景はそう変わりはない。ただ、コーチの人数がメジャーより少ないということくらいだろうか。もちろん、チームには通訳もいない。それでもスマートフォンの翻訳機能を頼りにコミュニケーションは取れる。確かに厳しい環境ではあるが、そこに馴染んでしまえばその厳しさを楽しむこともできる。楽しむくらいの余裕がなければ、結果もついてこない。梶本もそうだが、渡辺もアトランティック・リーグに来てから好調を維持し、5試合に登板して1勝0敗、防御率1.68をマークしている。彼らはいつかはメジャーという夢を追いながら、プロとしての誇りを持ち、独立リーグのグラウンドで戦っている。

<取材・文・撮影/水次祥子>




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