睡眠のスペシャリストが教えるW杯の寝不足を解消する方法
6月12日(日本時間6月13日)に始まったワールドカップ・ブラジル大会。日本は残念な結果に終わってしまったが熱戦繰り広げられるグループリーグも大詰めを迎える中、寝不足で仕事が手につかないという人も多いことだろう。また、有休を使って弾丸ツアーに行くサラリーマンも、帰国後の時差ボケが辛いに違いない。
そこで、サラリーマンの睡眠に造詣が深い作業療法士の菅原洋平氏に、睡眠不足や時差ボケを解消する方法を聞いた。
◆眠くても日中にできるだけ眠らないように心がける〈TV観戦者向け〉
「睡眠というものは、“眠っていない時間”が長いほど深くて質の良い睡眠ができます。それは睡眠圧と呼ばれ、覚醒している時間の圧力が高まるほど、眠った時の睡眠が充実するのです。
眠いからといって、昼間に仮眠や居眠りを繰り返すと、かえって夜の睡眠の質が悪くなってしまいます。睡眠は“長さ”よりも“質”が大切。
つまり夜中のテレビ観戦で睡眠が少なくなったからといって、昼間の睡眠で補おうとするのは間違っているということです」(菅原氏)
◆普段の睡眠時間の22時間後に睡眠を取る〈TV観戦者向け〉
「夜中の放送と早朝の放送どちらも観ている場合は、ほぼ徹夜のような状態でしょう。そんな時に大切なのが、“最低体温”の時間に睡眠を取るということです。
普段の生活リズムの起床後22時間が人間の“最低体温”の時間です(普段朝6時起床している人の場合は朝4時)。
この時間の前後に15~30分程度でも眠っておくと、深部体温のリズムがずれずにすむので、その後の睡眠リズムが崩れることを防げるのです」(菅原氏)
◆機内食を食べない〈現地観戦組向け〉
「ブラジルから帰国するときには、西への移動になるので比較的時差ボケは少ないでしょう。それでも、時差ボケを防止する策を講じておくことは、帰国後の仕事をスムーズに行うために大切です。
時差ボケ防止には、機内食を食べないという方法があります。これは海外出張などにも応用が効くので、知っておいて損はないかと思います。
人間の体内時計というのは、食事と食事の間が長く空いた後の食事からスタートします。そのため機内食を食べず(もし食べるなら搭乗してすぐのみ)、帰国してからも空腹のまま過ごします。
そして翌朝の食事をしっかり摂ると、体が朝の時間を感知して、リズムが修正されます」(菅原氏)
◆体の中の夜の時間を遅らせる〈現地観戦組向け〉
「西側飛行の場合は、“超朝寝坊”のリズムにする必要があります。
つまり帰国したら、夕方から夜にかけてできるだけ外出するか明るいところで過ごすことで体の中の夜を遅らせるのです。
さらに、普段の生活で起きる時間になったら、窓から1m以内に行き、陽の光を浴びましょう。そうすることで、体のリズムが修正されやすくなるのです」(菅原氏)
7月13日(日本時間7月14日)の決勝戦まで、見逃せない試合が目白押し状態になるでしょう。サッカー王国ブラジルで行われる貴重なワールドカップを最後まで楽しむためにも、しっかりと睡眠対策は講じておきたい。
【菅原洋平氏】
ユークロニア株式会社代表。作業療法士。睡眠研修を30社以上で実施するなど、中高年の睡眠に精通。著書に『
『あなたの人生を変える睡眠の法則』 朝昼夕3つのことを心がければOK! |
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