ラスベガスのスロットで大当たり!税金はどうなるの?
ブラックジャック、ルーレット、クラップス。カジノの本場、ラスベガスではさまざまなゲームが楽しめるが、誰もが手軽に楽しめるものといえばスロットマシンがある。日本のパチスロのように、細かい目押しの技術やルールなど知らなくても、マシンにお金を入れてレバーを回すだけで(ボタンを押す方式のモノも多い)、あとは運頼みで一攫千金の夢を追える。今年6月、ラスベガスを訪れた記者も、気兼ねなく遊べるスロットマシンが大好物。マシンによって違うが、1回あたりの賭け金も50セント程度と手頃で、ダラダラと時間を潰すのにもってこいだからだ。
今回の旅行でも、空き時間を見つけては、20ドル紙幣をマシンに突っ込んで1回40セントのミニマムベットで運試しを続ける。戦績は勝ったり負けたりで、ほぼプラマイゼロといったところだが、日本のパチスロにはない多彩なゲーム性が楽しく、なかなか飽きることがない。ラスベガスでは空港、コンビニ、スーパーなど、街中のいたるところにスロットマシンが置いてあるが、人気の理由はやはり、そのゲーム性の高さだろう。
さて、滞在3日目にして事件が起こった。夕食を済ませ、今回宿泊しているホテル「モンテカルロ」に戻る。こちらの老舗ホテル、丁度、ストリップ大通りから部屋に戻るときにはホテル内のカジノフロアを抜ける構造になっているのだが、喧噪の中を素通りできるはずもなく、「寝る前に一勝負!」というのが日課になっていた。
スロットマシンを適当に物色したところ、1セント台(クレジットの単位が1セント。ビデオスロットはマルチラインが基本なので、40ラインの機種であればミニマムベットは40セントとなる)のビデオスロットに目をつける。50ゲームほどプレイしたところ、指定の絵柄が3つ揃って10ゲームのフリーゲームに突入した。
ビデオスロットにおいては、このフリーゲームが勝敗の鍵をわける。たいていは「これだけ待ったのに、たったの10ドルかよ!」と肩すかしに終わることが多いのだが、マシンによってボーナス絵柄の出現率が変わったり、「×2」、「×5」などペイアウトが増える仕組みが搭載されていて射幸心を煽る。
フリーゲームが始まり5ゲーム目、3連のボーナス絵柄が1番目のリールに止まり「おっ?」と思っていると、2番目、3番目のリールにも3連ボーナス絵柄が止まり「むむっ!」となる。4番目のリールにも同じ3連絵柄が止まり「おいおい」と驚くところ、5番目にはボーナス絵柄が2連で止まった。画面には金貨が舞うアニメーションが表示され、クレジットの数字が猛スピードで上昇していく。
厳密に計算したわけではないが、40ライン中35ラインでボーナス絵柄が5つ揃い、5ラインでボーナス絵柄が4つ揃いというところ。「いくら勝ってるのかよくわからない」というのもスロットマシンの魅力だが、クレジットの数字が100ドル、200ドルと上昇していき、500ドル、1000ドルを超えたあたりで「ぶっ壊れろ!」と叫んでいた。
結果、このフリーゲーム1回で1552ドルを獲得。普段ならクレジットに加算されて「CASH OUT」ボタンを押せばレシートが発行されて、その紙を専用マシンに入れれば現金が出てくるというシステム。だが、ボタンを押しても何も反応せず、「従業員を呼んでください」という表示が出た。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=677765
近くにいたスタッフを呼び画面を見せると、「オー! ジャックポット!! コングラッチュレーション」と快哉を叫んだあと、「ドゥー・ユー・ハブ・アイティナンバー?」と続けてくる。「アイティナンバー?」と聞き返すと、ペラペラと英語でまくしたててくるので、不安になってくる。英語が少ししかわからないことを告げると、3歳児に言葉を教えるように簡単な単語でゆっくりと説明してくれた。彼のいうところを整理すると、「あなたは1000ドル以上当てた」、「その場合、外国人は30%の税金を払う必要がある」、「しかしアイティナンバーを持っていれば免除される」、「いま手続きすれば、明日の午後3時には取得できる」とのことだ。
「1550ドルの30%」といえば500ドル近いので、もちろん答えは「イエス」。パスポートと一緒に申請用紙を提出、とりあえず税金を引いた1086ドルを受け取り、明日、再びカジノを訪れることに。翌日、キャッシャーに控えの用紙を持って向かうと、差額の464ドルと一緒に、ナンバーの証明用紙をくれた。
後日、調べたところ、アイティナンバーとは記者の聞き間違いで、正しくはアイティン(ITIN)ナンバーという。アメリカの個人納税者番号のことで、簡単にいえば、「この番号を持っていれば、アメリカに税金を払う必要はない。日本で申告しろ」ということ。アメリカと日本は租税協定を結んでいるため、「カジノで勝った」という情報は日本の税務署に送られる。日本では一時所得扱いになるので、申告しなければもちろん脱税となるのだ。
利便性があるようで面倒なシステムだが、一つ気になるのは、今回は大当たり後に余裕があったのでITINナンバーを取得できて30%もの税金をぼったくられることはなかった。が、たとえば帰りの空港においてあるスロットマシンで1000ドル以上の当たりを引いても、ITINナンバーを新しく申請、発行する時間はなく、税金の30%がガッチリと引かれてしまうということ。たいていのラスベガスのカジノのキャッシャーでは、いつでも申請を受け付けているので、来たるべく大当たりに備えて、旅行の序盤に取得しておくのがベストのようだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ
日刊SPA!の人気連載