富野由悠季氏の「新作ガンダム」に原発事故が与えた影響
この秋、テレビ放送がスタートする『ガンダム Gのレコンギスタ』(以下『G-レコ』)。ガンダム生誕35周年を記念して制作されたファン待望の新シリーズだ。本作で総監督を務めるのは同シリーズの生みの親・富野由悠季。御年72歳、キャリア50年を超える富野監督は、35年のときを超えて新たなるガンダムに何を託すのか? そして、「従来のガンダムファンには理解できない作品」「あなたのために作っていない。お子さん、お孫さんに見せてください」といった挑発的な発言の真意とは?
――『G-レコ』はガンダムファンの子供や孫の世代に向けた作品ということですが……。
富野:今の20代、30代、40代以降には期待できない。最近のニュースを観ていてもわかるんじゃない? あれで政治家だって言うんだから(笑)。あの人たちの年収が200万~300万円なら許せる。でも、そうじゃない。そこにお金を払うことを許しているのは我々納税者だから、これは皆アホってことです。そこを変えることができるのは、子供たちをおいてほかにありません。
――『G-レコ』の構想段階で東日本大震災と福島第一原発の事故が起こりましたね。この2つの事件は作品に影響ありましたか?
富野:影響はあります。福島の事故で大人たちに期待できないことが、はっきりしました。事故を起こしても後処理ひとつできない。そんなことは最初からわかっていたはずなのに。この間も地元住民が大反対しているにもかかわらず、どこかの知事が「(中間貯蔵施設の件は)何とか説得したい」とか平気で言っていました。僕に言わせれば「バカなんじゃないの?」って話です。
――『∀ガンダム』の頃から「持続可能型のエネルギー政策に切り替えないとまずい」といった話を繰り返してきましたね。そのあたりのことは福島第一原発の事件後、話しやすくなったのではないでしょうか?
富野:それも1年程度のことでしたね。今では原発に関する言葉は死語に逆戻りしています。コンビニは24時間営業だし、東京では街中の街灯が灯っている。街灯をつけないと犯罪率が上がるなんていうバカもいるけど、江戸時代の犯罪率が今よりも高いとは思えない。それでも20世紀の暮らしに慣れてしまった我々大人は街灯を消すことができないでいる。僕にしても今では自粛という観念を持てずにいます。それくらい僕たちはだらしがないんです。
――だからこそ子供に向けて『G-レコ』を作った?
富野:この作品を観た子供たちが10年後にアクションを起こす。そのための種はまけたと思います。台詞にはしていないけど、問題意識はすべて並べています。例えば、本作に登場する宇宙エレベーターもそのひとつです。地球と宇宙を7万kmのケーブルで繋ぐことに、どの程度の現実感があるのか? さらに言えば宇宙エレベーターの維持管理をどう行って、投資した資金をどう回収するのか? そういう科学者が置き去りにしている問題に目を向けられる人間が『G-レコ』の視聴者から育ってくれたら本望です。
※8/26発売の週刊SPA!では、富野監督が新作ガンダムで「脱ガンダム」を成功をした、と大いに語っている。ぜひ、本誌でご確認いただきたい。
<取材・文/渡辺トモヒロ 撮影/吉場正和>
![]() |
『週刊SPA!9/2号(8/26発売)』 表紙の人/大谷翔平 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
|
|
『ガンダム Gのレコンギスタ 1』 特装限定版[Blu-ray]
|
【関連キーワードから記事を探す】
『ヒロアカ』炎上から始まったコスプレ狩り…中国で進む“日本アニメ封殺”の裏で、習近平政権が推し進める5兆円市場「新中式」の正体
ジョジョ7部「スティール・ボール・ラン」のアニメが配信決定。スタンドバトルは難解でも「ジョジョシリーズ初心者」にオススメできるワケ
止まらない「ジークアクス」の衝撃。往年のガンダムファンだけでない“幅広い層にウケた理由”を考える
話題の「セリフなしアニメ映画」スペイン人監督と日本人妻を直撃。夫婦円満の秘訣は“異常なまでの映画愛”
“アニメのセル画を文化庁が買い取る”取り組みに賛否…「運営できる人材がいない」
「“隠れCMキング”と呼ばれるのは…」男性CM起用4位・小倉史也(29)が明かす、異名への率直な思いと有名企業から次々と選ばれる仕事術“三箇条”
男性CM起用4位の“隠れCMキング”は『20世紀少年』の元子役。小倉史也(29)が一度は表舞台から離れたワケと「テレビで見ない日はない」存在へと返り咲くまで
25歳で2000万円の借金…すべてを失った男が人気のルイボスティ専門店を全国展開できた理由
「こんなに成長したよ!」STU48・甲斐心愛、海外生活を締めくくる2nd写真集発売!
「変われなくていいなら、やめていい」桜井日奈子が30歳を前にたどり着いた“自分を変える方法”
























