『妖怪ウォッチ』をヒットさせた男が福岡にこだわる理由
今、子供たちの間で社会現象となっているゲーム『妖怪ウォッチ2元祖/本家』。累計出荷本数200万本を突破し、シリーズを基にしたマンガやアニメも好調だ。本作を生み出した日野晃博氏は、これまでもクロスメディアで数々のヒット作を世に送り出してきた敏腕ゲームクリエイターである。彼が今回、妖怪に注目した理由を聞いたところ、実はあまり根拠がないのだという。
「最初は『そろそろ妖怪ネタが来てもいいかな』くらいのひらめきだったんです。モンスターをキーワードにしたタイトルはいろいろ出ているけど、『そういえば妖怪ってないよな』と。ほかで出していないモノ、これから来そうなモノを狙っていくことは常に考えています。あとはタイトル。僕はいつも、タイトルにこだわるのですが、“妖怪”という和風で古めかしい響きに“ウォッチ”という現代的でカチッとした言葉が組み合わされたとき、『ん、何それ?』みたいな不思議な引っ掛かり感が出た。そこから空想をふくらませていった感じでしょうか。まぁ、でも根拠はないです」
だが、当初から強く意識したのは「長く愛されるキャラクターを生み出したい」という点だという。
「『イナズマイレブン』『ダンボール戦機』と2作続けて、クロスメディアでヒットさせることができて、何か新しい切り口のタイトルを作りたいと考えたときに、次は『ドラえもん』のように普遍的な作品を、そう考えるようになったんです。21世紀の『ドラえもん』になり得る作品を作り出したい、という思いはとても強かったです」
さて、日野氏が社長を務めるレベルファイブは、ほかにも『レイトン教授』など数多くの人気作を手掛けるほどのヒットメーカーだが、レベルファイブ本社はずっと福岡にある。その理由とは?
「僕の生まれが福岡で、これまでずっと福岡で何の違和感もなくやってきたから、というのが最大の理由。福岡は住みやすく、ストレスのない街。職場から10分圏内で、それなりの部屋が安価で借りられるし、徒歩5分で通勤している社員もいます。東京のように満員電車もない。いまはネットがあるのでどこにいても情報を集約できるし、テレビ電話で密なやり取りをすることも可能です。仕事をする場所は、もはや関係ないかなぁ。モノをつくるのにぴったりの場所だと思っています」
<本誌構成/漆原直行 撮影/渡辺秀之 再構成/SPA!編集部>
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