大人が履ける「ナイキ エアマックス」。20年の時を経て大復活
―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションのバイヤーMBです。洋服の買いつけという本業の傍ら、ブログやメルマガで「オシャレの正解」について発信していたところ、こちらで執筆させていただくことになりました。連載第4回目をよろしくお願いします。
近年のメンズファッションは「90年代リバイバル」が真っ盛り。90年代といえば、小室サウンド、コギャル、ルーズソックス、ポケベル、消費税5%増税……と、雑多なカルチャーが現れては消えていった時代。そんな中でメンズファッションと言えば、「裏原宿系」だろう。猿のアイコンでお馴染み「アベイシングエイプ」や、「アンダーカバー」「ナンバーナイン」が一大ブームとなった。
ゆるいパーカーに腰穿きしたデニム、スケボーに乗り、ドデカいヘッドフォンでHIPHOPを聴く……30代以上の方は覚えている人も多いはず。「モード」「スポーツ」「ミリタリー」といったファッションの「スタイル」は多種多様だが、「ストリートファッション」が構築されたのは、まさにこの時代だった。それら90年代ストリートファッションの中核をなしていたものが「ハイテクスニーカー」だ。
ハイテクスニーカーは日本中で爆発的な人気を見せ、とくにNIKEのAIR MAXシリーズは販売が追いつかないほどの品薄状態になった。1足1万円前後のスニーカーが中古でも数万円、モデルによっては数十万円といったプレミア価格で取引されるほどに。
「街でエアマックスを履いていると襲われるから部屋に飾ったままにしてある」
「靴盗難が相次いだため靴箱に鍵をつける学校が出てきた」
「偽造品の販売は暴力団の資金源になっている」
などなど、いま聞くと「たかがスニーカーでそんなことあるか!」と冗談のようにも思えてしまうが、当時はそれほどの人気だったのだ。そんなエアマックスが2014年、また一大ブームとなっている。
▼転売で大儲け……オリジナルモデルが発売される!?
90年代、NIKE AIR MAXシリーズは全般的に好評だったが、とくに人気が集中していたのが「AIR MAX95」だ。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=766318
「うわー! 懐かしい!」という人も多いはず。「AIR MAX95」は発売以降、マイナーチェンジがあったため、発売当初の初期バージョン「オリジナルモデル(通称:OG)」はとくに希少価値が高い。現在も「NIKE AIR MAX95 OG」と検索をかければ、定価1万円台であるはずのモデルに、3万円、4万円とプレミアムがついているのが確認できる。
「AIR MAX95」は、その名のとおり、2015年に発売20周年を迎える。NIKEもさまざまなイベントや限定モデルを用意しており、今年以上のハイテクスニーカーブームが予想されるのだが、なんといっても注目は「オリジナルモデル」の発売があるのかだ(おそらく初代 AIR MAX発売日である3月26日あたりに何らかの発表があるはず!)。発売されれば、数量限定なので、マニアや転売して利益を得たい人は注目必至だ。
▼大人こそ取り入れるべき「エアマックス」
さて、話を「ファッション」に移そう。90年代から始まって現代の流行となった「エアマックス」。
「そうは言っても若者のブームだろ?」
「いまさらスニーカー履くのもちょっとなぁ~。」
あの頃若者だった我々も今は立派な大人だ。スニーカーなんて、と思う人も多いかもしれないが、ちょっと待ってほしい。現代のスニーカーブームはあの頃の「ダボダボファッション」とは違う。昔は「ルーズ」に合わせるスタイルが流行だったが、現代はジャケットやロングコートや細身パンツなど「シャープ」なスタイルに合わせるのが肝だ。いわゆる「ハズし」としてスニーカーを活用するのがポイントなのだ。
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テーラードジャケット、細身のデニム、白シャツなど「綺麗なスタイルにはレザーシューズでしょ?」と思うかもしれない。しかし、あえてハイテクスニーカーを合わせてみてほしい。「ドレススタイル」に、ハイテクスニーカーの「カジュアル感」や「スポーツ感」が加わり、簡単にこなれた印象になるはずだ。以前にも書いたがが、メンズファッションの肝は「ドレスとカジュアルのバランス」にあるからだ。
ジャケットにスラックスにレザーシューズでは「ビジネススタイル」や「パーティースタイル」で、いわゆる「キメすぎている」状態だ。また、パーカーにダメージデニムにスニーカーでは「部屋着」や「作業着」になってしまう。これでは単に「だらしない」服装だ。
この間のバランスを狙うことが「オシャレ」の肝だ。緊張のなかに弛緩を持たせること、ドレスのなかにカジュアルをプラスすることで程よい色気と程よい遊びが生まれ、人を「オシャレ」に見せる。女性が「男性のネクタイを外す瞬間に色気を感じる」というように、ふと緊張が解けた一瞬に「色気」は滲み出るものだ。
「オシャレ」も同様。テーラードジャケットやロングコートなど、カッチリしたアイテムを好む30代以上の男性にこそ、いつものレザーシューズやレザーブーツではなく、スニーカーを合わせてみてほしい。どことなく軽く、「こなれた印象」「オシャレを知っている風」に見えるはずだ。加えて合わせ方のポイントを一つ。「スニーカー以外をモノトーンで合わせること」だ。アウター、ボトム、インナーのすべてを「白、黒、グレー」でまとめてみる。ほかの色を使いすぎると、どうしても「カジュアル感」が強くなり、テーラードジャケットやロングコートの「緊張感」が損なわれすぎてしまうからだ。
▼合わせやすいオススメモデルはAIR MAX90
さて、数あるエアマックスの中からいくつかオススメを。先述の「AIR MAX95」もいいが、入手困難なのでほかのモデルを紹介したい。
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こちらは「AIR MAX90 ESSENTIAL」というモデル。世界中のスニーカーフリークから絶大な支持を得ている「マスターピース」AIR MAX90。ハイテクスニーカーと聞くとボリューム感のあるフォルムを想像するが、シャープなシルエットが特徴。スラックスや細身パンツにも難なく合わせられる。まさに大人が履くべきエアマックスだ。海外のファッションスナップなどでもロングコートなどに合わせたスタイルが多く見られ、綺麗なスタイルとの相性のよさがうかがえる。とくにモノトーンカラーはオススメ。「カラフルなスニーカーは抵抗がある」という人もこれなら合わせられるはずだ。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=766322
こちらは「AIR MAX90 BREEZE」。こちらも同様のAIR MAX90だが、仕様違い。低反発素材や抗菌防臭加工を施したハイテク仕様で、履いてみるとわかるが驚くほど軽く、歩きやすい。本来ランニングシューズとして開発されているので、履き心地の良さは折り紙付きだ。カラフルなので、いかにも「NIKEのスニーカー」らしい見え方になる。上述のモノトーンで物足りない方はこちらでもいいだろう。
今の30代40代の男性ならば、もしかすると実家に「AIR MAX」が眠っているかもしれない。そういったものも「カジュアル」と「ドレス」のバランスさえとってもらえば、大人のファッションとして印象を変えて蘇る。これから年末年始の大掃除シーズンに、家の奥から出てきたスニーカーを捨てずに活用してみてはいかがだろうか。 <文/MB>ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)『MBの偏愛ブランド図鑑』 今着るべきブランド60の歴史や特色を、自身が愛用する品とともに徹底紹介 |
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