ニュース

沖縄は市役所の窓口からATMまで挨拶は「ハイサイ」――独自の言葉“しまくとぅば”を守れ

自民党・公明党が大勝した昨年末の衆院選。沖縄では「オール沖縄」に自公が全敗(比例で復活)、本土と沖縄では状況が違うことが明白となった。現在の沖縄では何が起きているのか?をリポートする。

◆市役所の窓口から銀行ATMまで挨拶は“ハイサイ”!?

沖縄県文化振興課・平良真氏

「県の作ったしまくとぅばの副読本です。子供たちだけでなく、親世代にも普及させていきたい」(沖縄県文化振興課・平良真氏)

 沖縄では今、独自の言葉“しまくとぅば”(沖縄地方のさまざまな言葉の総称)がブームだ。那覇市は’12年、新卒採用試験の二次面接で、しまくとぅばであるウチナーグチでの自己紹介を義務化。「現県知事の翁長雄志氏が市長だった当時、“ハイサイ運動”というウチナーグチ普及運動を始めたのがきっかけです」(那覇市役所人事課)。

 市役所の窓口では、職員が「ハイサイ」(女性は「ハイタイ」)と挨拶。敷地内にあるジュースの自販機でも、前に立つと「ハイサイ」と声がかかる。さんぴん茶を買ってみると、「ニフェーデービル」(ありがとう)と、徹底している。

 沖縄県も、「しまくとぅば県民大会」の実施や、スマホアプリ「しまくとぅば検定」のリリースなど、普及活動を活発化。今年から県内の小中学校にしまくとぅばの副読本を配り、総合的学習の時間などで使われる予定。那覇市では、すでに独自の副読本を導入している。

 民間でも取り組みが進む。沖縄コンビニシェア1位のファミリーマートでは、銀行ATMの前に立つと、機械が「ハイサイ」とご挨拶。県唯一の鉄道・ゆいレールでもウチナーグチの案内が流れる。

 メディアでも、しまくとぅばを使う番組が増えている。例えば、NHK沖縄の『うちなーであそぼ』という番組が今、子供たちに大人気だ。5年前から、アニメや歌、劇、紙芝居などを通じて、沖縄に伝わる言葉や民話を放送している。番組に登場するゆるキャラの「さぁたぁちゃん」も大人気で、「イベントなどでは子供たちから“さぁたぁやいびーん!”と黄色い声援も上がるほどです」(同番組プロデューサー)。“しまくとぅば”に接する機会が格段に増えている。

◆逆輸入でアイデンティティに目覚めた沖縄

 沖縄県議会は’06年、“しまくとぅば(島言葉=沖縄地方のさまざまな言葉の総称)の日”を条例化した。

 きっかけは’05年、南米に移民した沖縄出身者のもとを県議団が訪れたとき、“なぜ皆さんはしまくとぅばを使わないのか”と詰め寄られたことだ。彼らは、地球の裏側で沖縄のアイデンティティを守り続けていたのだ。

 ’09年、ユネスコが5つの代表的なしまくとぅばを「消滅の危険がある」と位置付けた。海外からの指摘もあり、危機感を抱いた県は県民から意見を募り、’12年に「21世紀沖縄ビジョン」を公表。’30年を目標に、沖縄の伝統と文化を継承しつつ、「不均衡状態にある安全保障体制の是正」と「島嶼経済克服」に努力するとしている。

取材・文・撮影/足立力也
― 日本人が知らない[沖縄自立]という潮流【1】 ―




おすすめ記事