鈴木おさむが語る「一番好きなAV作品の謎」――及川奈央のマジギレは演出だったのか?
放送作家の鈴木おさむ氏が、日本のAV界を牽引してきた男優・監督と行った対談をまとめた「AV男優の流儀」は、発売後たちまち重版がかかるなど、話題を呼んでいる。今回はカンパニー松尾氏との対談の中で語られた、「忘れられない作品」についてのエピソードを紹介したい。
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鈴木おさむ(以下、鈴木):僕、どうしてもカンパニー松尾監督と話をしたい作品があって。僕が一番好きな作品で、及川奈央さんの「ブラックデート」というのがあるんです。及川さんの人気絶頂期に出ていて。後に及川さんがタレントになって、僕のラジオに来てくれたことがあって。曲の合間に、「1個だけ聞きたい作品があるんです」と言ったら、「あぁ、もう何の作品かわかりました」って彼女が言ったことがあったんですよ。それくらい、及川さんの中でも記憶に残った作品らしくて。
カンパニー松尾(以下、松尾):僕は観たことありませんが、どんな作品なんですか?
鈴木:及川さんとその作品の監督が、1泊2日のデートをするんですね。そこで及川さんが嫌がるNG行為をどんどんしていくんです。外でハメ撮りをしたり、聞いてない衣装を着させたり、露出させたり、生理になったのに無理やりやったりと。かなり追い込むんですよ。
松尾:その監督、知ってますよ。分かった。
鈴木:知ってる方ですか? その監督に及川さんがブチ切れて、途中で「監督代えて!」ってなって、それまでADだった若い男性が急遽監督になって。彼としては何としてでも現場を成立させないといけないから、及川さんのことをおだてまくるんです。
松尾:そこから急に(笑)。
鈴木:とにかくおだてまくって、残っているプログラムを消化するみたいな。僕がその作品が究極にエロいなと思ったのは、終わった後に2人でホテルで打ち上げするんです。そこで及川さんがチューハイをしこたま飲むんですよ。もうベロンベロンになって。そこでAD改め新監督がビデオカメラを1つだけ置いて、それでフェラチオを始めるんですけど、及川さんが猛烈にエロくフェラするんですよ。おそらく凄い心労から解放された安堵感やら何やらで、素の及川奈央が出たんでしょうね。
松尾:なんとなく状況はわかりますね。
鈴木:それでAD改め新監督に心を許してセックスをするんですけど、酔っ払った勢いなのか、アナルセックスまでしちゃうんです。そのシーンがメチャクチャ、エロいんですよ。で、松尾監督に聞きたいんですけど、これってどこまでが演出だと思いますか?
松尾:その作品を撮った監督は業界でも変わった人なんですけど、おそらく演出ではないですね。ADの後半の頑張りが奇跡を生んだだけだと思います(笑)。
鈴木:やっぱりそうですか。あの及川さんの怒り顔はすごかったからですから。本人も覚えているって言ってたくらいなんで。
松尾:及川さんってものすごくイイ人ですよ。普通あそこまで有名になると、天狗になっちゃうじゃないですか。打ち合わせすらしないという人もいるのに、彼女は菩薩みたいな女優で、ADにも分け隔てなく接してくれる。これはお世辞でもなんでもなくて、そんな人はいませんよ。そんな及川さんを怒らせたんだから、相当ひどいことをしたんでしょうね。でも、それが後半の爆発力を生んだと。
鈴木:そうなんです。僕、基本的に単体女優は興味ないけれど、女優さんが本気で酔った時のエロさというのを知りましたね。
松尾:全体を通して、及川さんの怒りも最後のエロいセックスも、彼女の素が出た作品だったということなんでしょうね。
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新書「AV男優の流儀」では、この他にも涙あり、笑いありのエピソードをぎっしり収録。216ページにわたってテンションの高いトークセッションが織りなされている。興味のある方はぜひ、手に取ってもらいたい。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
【カンパニー松尾】
1965年生まれ。テレビ制作会社の倒産を機に、安達かおる監督率いる「V&Rプランニング」に入社。この時、まだ童貞だったという。1988年に監督デビュー。ハンディカムを駆使した“ハメ撮り”を開始。女性の下着を完全に脱がさずに挿入する“着衣ハメ”を好む。1996年、V&Rを退社しフリーに。2003年には自身のメーカー「HMJM」を起ちあげる。代表作に「私を女優にしてください」「テレクラキャノンボール」など
【鈴木おさむ】
1972年、千葉県生まれ。放送作家。バラエティを中心にたくさんの番組の構成を手掛ける。2014年8月にはAVを題材にした舞台「AVM」を作・演出し、各方面から高い評価を受けた。
『AV男優の流儀』 気鋭の放送作家とAV男優、監督との対談“炎の5番勝負” |
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