北陸新幹線ルート変更で「トンボの楽園」がなくなる【後編】

3月14日に金沢までが開通する北陸新幹線。敦賀までの延伸は前倒しで,23年春ごろと発表された。地元は歓迎ムードだが、その計画ルートが世界的に貴重な湿地を分断してしまうという問題が発覚した!

◆新幹線計画後に湿地の価値が認知

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キタノメダカ

キタノメダカ…日本海側、東北から北陸にかけての水田や小川などに生息しているメダカ(写真/中池見ねっと)

 中池見湿地の国際的な重要性が認知されたのはつい最近のこと。’92年には大阪ガスによる液化天然ガス基地の建設計画が発表され、地元の市民団体や学者・NGOなどの保護運動によって’02年に計画は中止に。湿地の大部分は敦賀市の所有となった。

 事後調査委員会の一委員からは「経済的な面を考慮」という意見も出されたが、敦賀市の所有地を通る新ルートのほうが用地を取得しやすいという意味なのかもしれない(環境への影響を調査する委員会が、経済面まで考える必要はないが……)。

「どちらのルートでも、地下水脈の変化など中池見湿地に与える影響は避けられません。しかし、新ルートは旧ルートよりも影響が大きいということは明白。まずは影響の大きい新ルートの撤回を実現し、できるだけ湿地に影響のない第三のルートの検討に向けて働きかけていきたい」(日本自然保護協会の福田真由子氏)

 建設ルートの大部分は越前加賀海岸国定公園の区域内で、福井県知事の判断で工事は可能となる。

「新幹線に限らず、ダムや道路の建設など長期的な事業の場合、計画当初と現在の環境的評価が異なる場合が多い。今後ほかの場所でも同じことが起こらないようにしなければなりません。事業者や国には、国際的な保護地域を守る責務を果たすよう、賢明な判断を求めていきたいと思います」(同)

取材・文/北村土龍 写真/日本自然保護協会 中池見ねっと 大場信義 羽鳥 聡 田川亨 図/futomoji
― 北陸新幹線ルート変更で、トンボの楽園がピンチ!?【2】 ―




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