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中国人はトイレ掃除をしたことがない!? 政府による“トイレ革命”よりも「教育が先」の声

 3月中旬に閉会した全人代(国会に相当)で習近平政権が「新常態」という新たなスローガンを発表し、話題となったが、もうひとつ重要な施策が発表された。
ニーハオトイレ

中国名物「ニーハオトイレ」。内陸部に行けばまだまだこうしたトイレが現役だ

 それはズバリ「トイレ革命」! 中国国家観光局の李金早局長が、「観光地のトイレ革命を推進する」と発言し、今後3年間で全国の公衆トイレ2万5000か所を改修し、さらに3万以上を新設する方針を打ち出したのだ。「中国のトイレは汚い」「ニーハオトイレ」という世界に蔓延したマイナスイメージを払拭し、外国人観光客を獲得することが狙いだという。  この施策に中国では賛同の声が多数上がっているが、広州市在住の日系工場勤務・戸田誠さん(仮名・46歳)は、「公衆トイレの改修や新設では、問題の根本解決は不可能」と切り捨てる。 「先決するべきは利用者の資質向上。水を流さない人はさすがに少なくなりましたが、依然多いのが、洋式の座面に足を乗せ、しゃがんで用を足す人。便座が不潔で座りたくないのが理由ですが、洋式に慣れておらず、しゃがまないと踏ん張れないとか。おかげで便座はいつも土泥で汚れている。しかも、背面に顔を向けて用を足す人も多く、便座の手前に“誤爆”されたウンコがあることもありますよ」  また、訪日中国人がこぞって購入する温水洗浄便座も、彼らにはまだ難易度が高すぎるようだ。武漢市の運送業・武智義文さん(仮名・37歳)は話す。 「都会のハイエンドのレストランやホテルのトイレでは、温水洗浄便座が設置されていることがありますが、肛門が刺激されて催してしまうのか、ノズル部分にウンコがついていることがよくある。清掃員も気づかず、ずっと掃除されていないのも多いですよ。気持ち悪いので、絶対に利用しません」  さらにトイレ革命は管理面でも中国人の意識改革が必須だ。上海市内で日本料理店を営む津森隆さん(仮名・46歳)は話す。 「中国には『ウンコより汚い』トイレがいくつもあります(笑)。中国人はとにかくトイレの掃除を嫌がることが理由なんですね。トイレ掃除は気持ち悪いだけでなく、プライドが傷つくんだそうです。ウチの店にも、トイレ掃除を命じたところ『そんなことしたら親が泣く』と拒絶した若い従業員もいました。飲食店では、トイレ清掃専門スタッフを雇っているところもありますが、誰もが嫌がる仕事だけあって時給は高め。週に1回しか掃除しないところも多い。だから、トイレが汚れることを避けるため『ウンコ禁止』のトイレにしている飲食店も存在するほど。便器に金網をかけ、ウンコを流せないようにしてある……」  このように、多数の反革命分子がのさばるなか、トラブル孫悟空でお馴染み、ジャーナリストの周来友氏はこんな提案をする。 「日本の小中学校では、トイレも含め生徒が掃除しますが、中国の学校では掃除の時間自体がないんです。だから中国人は大人になってもトイレ掃除ができないし、使う時もキレイに使おうという気が起こらない。トイレ革命のためにはまず、小中学校でトイレ掃除をさせるよう強制させて、日本の学校を見習うべきです!」  中国トイレ文明の夜明けは、まだまだ先になりそうだ……。 <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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