コラムニスト・勝谷誠彦氏が鬱病を告白「同病の人たちに伝えたい」
歯に衣着せぬ物言いで雑誌、テレビ等で活躍するコラムニストの勝谷誠彦氏が、週刊SPA!6月2日号の自身の連載「ニュースバカ一代」にて鬱病であることを告白した。今回は特別にその回の全文を掲載する。今後、勝谷氏はこの病とどう向き合っていくのか? その動向に注目したい。
◆同病の人たちに伝えたい、病という敵を知れば心配ない
こういう、ごく私的なことについて書くことには躊躇があったが、私は一応、作家のつもりで、作家というものは自分の恥を切り売りすることでいささかの何かのことを社会に還元できるのであると、昔から考えていたものだから、書くことにする。
いや、この病気が恥ということではない。同病の方々のためにまずはそれを言っておく。ただし、それでヨボヨボしていて仕事に齟齬をきたしている自分という存在は恥ずかしいし迷惑をかけてはいる。鬱病になってしまった。こういうことを書けるというのは「病識がある」といって、まだしもいい方なのである。しかし私は子どものころから北杜夫先生の著作などをずいぶんと読み込んできたので「ああ、これがそうか」とわかるのであって、ごく普通の方々では「調子が悪いな」「気分が落ち込んでいるな」から始まるのではないか。そしてだんだんと辛いことになっていく。そういう人たちに「こういうこともあるのだよ」と伝えたくて、今回の原稿を書いている。
それは「ドスン」とやってきた。昨日寒いのに外で薄着をしていたから風邪をひいた、ならまだ納得がいくが、何ひとつ悪いことはしていないのだ。しかし、突然、寝床から身体が起き上がらなくなった。じわっと立ち上がってなんとか飯を食おうとするがそれも出来ない。幸いなのはこういう連載があることで、しかしそれも呆然と忘れていてさきほど担当者からのメールがあってこの原稿を書いている。フツーは翌朝に届かなくてようやく焦るのだが、昼過ぎに催促されるというのは、いかに普段にマジメに書いているかだ。
今後の経緯はまたお伝えしていかなくてはいけないが「それほど心配することはない」とまず同病の可能性のある諸氏に言っておきたい。あと「ちゃんと精神科を受診すること」だ。戦争と同じで、敵を知りオノレを知ることがまずは基本なのである。
【勝谷誠彦】
1960年生まれ、コラムニスト。当欄をまとめた『坂の上のバカ』、『獺祭―天翔ける日の本の酒』、『がんばれ!瀕死の朝日新聞』(倉山満氏との共著)など著書多数。最新刊『カツヤマサヒコSHOW 酔談3』が発売に。
日記『勝谷誠彦のxxな日々。』公式サイト http://katsuyamasahiko.jp
本欄をまとめた待望の単行本第4弾『バカが隣りに住んでいる』が好評発売中
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