「多摩川で釣った魚」や「野草」で飢えをしのいでいたアイドルに聞く、極貧時代に「一番ツラかったこと」
まばゆいライトに照らされステージ上ではじける笑顔。歌とダンスでファンを沸かせ元気を届けるライブアイドル。常にファンに勇気と希望を与える存在である。だが、果たして専業で生活できているライブアイドルがどれだけいるだろうか。ひとたびステージから降りれば当然そこには我々と変わらぬ生活が待っている。
実際、XなどのSNS上では定期的と言っていいくらい、運営とアイドルの金銭トラブルが投稿されている。中には「運営が金庫を持ち逃げした」なんてものもある。信じられないくらいお粗末な展開があるのがアイドルの世界だ。
給料のシステムは各事務所によって様々ではあるが、当然売れていない間はお金ももらえないもの。若手芸人ではよくある貧乏話ではあるが、アイドルとなればまた違ってくる。
今回はアイドルでありグラビアアイドル、タレントでもあるソラ豆琴美さんが自身の極貧時代を語ってくれた。
「土を掘ってミミズを捕まえて、それを釣り餌に多摩川で魚を釣ってました。30分に1匹はミミズがとれるので」
多摩川での魚釣り。今、釣りを趣味としているソラ豆琴美さん(以下、ソラ豆さん)であるがこの当時は生きるための釣りだった。その時の様子を自身のXの投稿でも回顧している。
「むかしさ、アイドル6年目とかのときだったかな
家賃払えなくなってさ3ヶ月滞納して
ろくなご飯も食べれないしコンビニで物買うことすらできなくてコンビニで泣き崩れた時もあった
自転車で20分くらい漕ぐと多摩川があってさ
多摩川で魚釣って食べてた
1番釣れて嬉しかったのはマゴチ。忘れられない。大きかった。美味しかった。
何も取れない時はカニ手掴みで取ってお味噌汁にしてた。あれ久しぶりに食べたいな」(原文ママ)
ソラ豆さんのファンであれば周知の逸話だろうが知らない人間からすると驚きのポストである。
「そもそもなんでこんなに飢えていたかというとこの時の事務所からお給料が1回ももらえていなかったからなんです。アルバイトもしていたのですがやっぱりライブが急に入ったりすると長続きしなくてなかなか出来ませんでした。ちなみに魚が捕まえられない時はカニを獲って……(笑)」(ソラ豆琴美さん、以下同じ)
情報要素が多いのでひとつずつひも解いていく。まず給料が1回も貰えなかったというのはいわゆるブラックな事務所に入ってしまったからだという。
「最初の事務所は、はじめた当初は固定給で月1万円でした。だから交通費で無くなるんです。月30本とかライブをやっていたので。交通費は自腹です。それで自転車でライブハウスまで移動するようになりました。でもライブハウスにたどり着けないこともあって、そこから交渉して歩合制に変わりました」
「多摩川で釣った魚」で飢えを凌いだ
まともに給料がもらえなかったブラック事務所
富山県出身。中央大学法学部卒。在学中より故・永谷修氏に師事。文藝春秋『Sports Graphic Number』編集部などを経て2018年に独立。執筆活動のほか書籍の編集、YouTube制作、アーティストマネジメント、ライブイベントなどを行っている。Twitter: @matsudai0228
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