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“神が宿る岩”は業者にとっては“ただの岩”――兵庫県・越木岩神社のマンション開発

景観・歴史・文化・環境・生態系などの破壊に目をつぶり、ひっそりと進行している開発計画は数多い。それは本当に必要な事業なのか? 地元住民はどれだけ情報を与えられているのか? 全国各地で進められている、“あまり知られていない”開発計画の現状をリポートした!!

◆住民にとって“神が宿る岩”が業者にとっては“ただの岩”?
~越木岩神社(兵庫県)信仰の対象を奪うマンション開発~


越木岩神社

売却地内にある磐座。この岩も磐座群の一つとして大事にされてきたが、西宮市も「法律上はただの岩」との見解だ(撮影/志葉玲)

 兵庫県西宮市で、ある「岩」をめぐって住民たちと開発業者の間で意見が衝突している。

 その舞台となっているのが、幼児の泣き声の大きさを土俵上で競わせる「泣き相撲」で有名な越木岩神社。境内の社叢林は兵庫県天然記念物で、「磐座」と呼ばれる巨石遺跡群があることでも知られる。

「もともと越木岩神社は、神様が宿られる磐座をお祀りするため建立されたものなのです」と同神社の宮司・飯森隆年さんは語る。

「今、当神社の隣地にある3つの磐座がマンション建設によって破壊の危機にあります。『何とか保存していただきたい』と、周辺住民の皆さまと訴えています。戦前は神社周辺の土地も越木岩神社の宮山でした。戦後も地域の人々が分割所有して保護されてきました。その後’64年、夙川学園短期大学に宮山の一部が売却されたのです。売却するかどうかは神社や地域の方々の間でも意見が割れましたが、売却する土地にある3つの磐座を保存することなどを条件に合意しました」(飯森さん)

 ところが2年前、短大は神戸に移転。マンション開発計画が持ち上がった。跡地を買い上げたのは住宅メーカーの「創建」である。

「私たちは6月2日、磐座の保存や周辺の自然環境への配慮などを求めた2万筆の署名を持っていきましたが、受け取ってもらえませんでした。このままでは、磐座が破壊されてしまうのでは……と心配しています」(同)

 一方、創建は取材に対し「私たちの調査では、神社側が“磐座”と主張するものは、ただの岩だとの結論です。磐座に関しては、保存することも考えておりません。建設予定地は登記簿を見ると、もとは神社の土地ではなく個人所有で、神社側が介入する権利はないというのが私たちの見解です」と回答した。

「私たちはマンション開発自体に反対しているのではありません。磐座が保存され、宮山の自然に配慮した建設を求めているだけです。6月、市に対しても2万筆の署名を提出しました。こうした周辺住民の声に市と事業者が耳を傾けてくれますよう、切に願っています」(飯森さん)

― こっそり進む[ニッポンの風景]破壊計画 ―




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