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みうらじゅん×糸井重里スペシャル対談――「ない仕事」の作り方

 11月23日、渋谷で『「ない仕事」の作り方』(みうらじゅん著)の発売記念イベント「みうらじゅん×糸井重里スペシャル対談」が開催された。そもそも著書のテーマである「ない仕事」とは、一体何なのか。みうらじゅん氏が「35年前に糸井(重里)さんに教えてもらった」という独自の仕事論について、語り合った対談イベントの模様を一部紹介しよう。 みうらじゅん×糸井重里スペシャル対談◆「今までにない」発想で人を惹きつける  謎のゆるキャラに率いられて登場した2人の対談は35年前、学生だったみうら氏が売れっ子コピーライターの糸井重里事務所に転がり込み、日長時間を潰していた思い出話などから始まった。そんななか「ない仕事」の原点ともいうべき出来事が起きたという。 「僕の漫画が『ヤングマガジン』で連載に決まったんですけど、糸井さんが原作をやるなら、という条件をつけられて……それを糸井さんに言ったら『うん、やりたくないな』って。軽く言うわけですよ(笑)。でも、可哀想だと思ってくれたんでしょうね。糸井さんが『相談ってどうよ? 原作はあるけど、相談って仕事はないよね』と。これが最初に耳にした『ない仕事』でしたね」(みうらじゅん氏)  当時連載していた漫画『見苦しいほど愛されたい』(現在は文藝春秋から電子書籍化)には、表紙に「相談・糸井重里」の文字が刻まれている。まさに「ない」ところから生まれた肩書だった。こうした糸井氏の「今までにない」の発想は、みうら氏に大きな影響を与えたわけだが、糸井氏自身は「この発想が本当に役に立ったと思うのは東日本大震災以降」だという。 独自の仕事論について語り合った「震災後に、東北に100本のツリーハウスを作るプロジェクトを立ち上げたんですよ。そもそもツリーハウスは大好きだけど、見たという人はほとんどいない。でも、ツリーハウスを子供のとき、作りたかったという人は多い。ツリーハウスって大勢の人には『ない』ものなんですよ。だから、ツリーハウスを作って『全部登れますよ』となれば、みんなが東北に来てくれるんじゃないかな、と思って」(糸井重里氏)  みうら氏の「ない仕事」は、これまで「マイブーム」「ゆるキャラ」などを生み出してきた。成立し得なかったジャンルに新しい言葉で仕掛け、人の需要を創出する。その仕事論は「(経営学者の)ドラッカーの理論にも通じる」と糸井氏も対談中、唸っていた。
謎のキャラクターは、現在「ほぼ日」で修行中のフェザード・シジュちゃん

謎のキャラクターは、現在「ほぼ日」で修行中のフェザード・シジュちゃん

「『経営とは、市場(顧客)の創造である』というドラッカーの言葉がある。つまり、『ない』マーケットをクリエイトすることこそ、経営だと。みうらとドラッカーは同じことを言っているんだ、ビックリです(笑)」(糸井氏)  今回発売された『「ない仕事」の作り方』では、みうら氏が糸井氏の影響を受けながら、実践してきた独自の仕事術を惜しみなく公開。「マイブーム」という言葉を広めるために仕掛けた「一人電通」という戦略も含め、その手法やコツは、きっと一般サラリーマンの仕事にも役に立つはずだ。 <取材・文・撮影/日刊SPA!編集部>
「ない仕事」の作り方

「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」ビジネス書(?)です。

見ぐるしいほど愛されたい

80年代を大笑いした幻の表題作に、新作「ムカエマの世界」をカップリングした充実の2本立て。

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