自動運転は大統領と妊婦のどっちを轢くのか?――人工知能の知られざる“死角”
―[本当は恐ろしい[人工知能]の世界]―
人工知能(AI)の有効活用が世界経済のトレンドになりつつある。現在、グーグルやアマゾンなどグローバル企業をはじめ、トヨタ自動車やパナソニックなど日本の大手企業も本格的に研究・開発、そして投資を始めている。こうした企業の動きを見れば、来る未来を想像するのも難くない。生活のあらゆるシーンで人工知能が活躍する時代は、そう遠くないはずだ。だが疑問も残る。果たして人工知能は万能なのだろうか。そこで今回、人工知能の知られざる実態と“死角”を調査。その課題と問題点を聞いてみた!
自動運転は大統領と妊婦のどっちを轢くのか?
トヨタ自動車の自動運転プロジェクトにも参加するロボット開発の権威、ダニエラ・ラス所長は、海外メディアの取材に対し次のように話している。
「世界では5秒ごとに交通事故が発生しているが、その95%が人間の動作ミス。世界では毎年124万人が交通事故で命を失っている。経済損失は年間約33兆円だ」
自動運転が普及すれば、これらの被害や損害は圧倒的に減るというのが専門家たちの予測だが……。
「路面が濡れていたり、凍結していたり、また落葉がある場合、人工知能がそれをどう判断し車を走らせるかという技術的課題がある」(中部大学工学部ロボット理工学科教授・大日方五郎氏)
まだまだ課題が残るが、技術的な問題以外にも大きな課題が。
「事故の責任問題です。人工知能を裁くことはできない。現在の法律では、作ったメーカーに製造物責任法を適用する可能性があるのでこのままではメーカーは販売しないという判断になる」(同氏)
加えて、無人自動車には、いわゆる「トロッコ問題」という最大の倫理的課題がある。
「もし事故を免れない場合、人工知能が被害を最小化すると想定してみてください。ハンドルを右に切ると1人が大きな被害を受け、左に切ると2人に小さな被害が及ぶ。どのような基準で判断するのでしょうか」(ロボット専門メディア『ロボティア』編集長・河鐘基氏)
例えば右に大統領がいて、左に妊婦がいた場合の判断はどうなるのか。人工知能はそれを人間に教わるか、自ら学ぶしかないが、答えを出すのは非常に困難だ。
「責任問題は、法律や保険の領域なので時間が経過すれば解決する。しかし、人が自動運転による事故を許容できるかは、また異なる次元の課題。社会のコンセンサスが非常に重要」(大日方氏)
まだまだ道のりは長いようだ。
【大日方五郎氏】
中部大学工学部ロボット理工学科教授。カー・ロボティクス調査研究委員会委員長。自動運転の実用化を研究
【河鐘基氏】
ロボット専門メディア『ロボティア』編集長。著書に『ドローンの衝撃』(扶桑社刊)など。http://roboteer-tokyo.com/
取材・文/SPA!AI取材班
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『ドローンの衝撃』 法的解釈を含め、ドローンに関する基礎的情報をいっきに紹介する
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