コピー用紙のために、先住民やオランウータンの住む森が破壊される!?
昨年の6月1日~10月31日、インドネシアで大規模な森林火災が発生。焼失面積は、神奈川県よりも大きい約260万ha。放出された温室効果ガスは10月30日時点で約16億4000万tと、日本の年間排出量を超える量だった。
‘13年5月21日の英国紙『ガーディアン』によると、インドネシアでは10年間で日本国土の4分の1以上に相当する1000万ha以上の土地が農民の手から奪われ、油ヤシやアカシアのプランテーションに転換された。
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その過程で、例えば’12年には5000件以上の人権侵害行為(脅迫や強制立ち退き、拷問など)が起きた。補償もなく土地を失った住民のなかには、かつては自分の土地だったプランテーションで、低賃金労働をせざるをえなくなったケースも多い。
これらの問題は日本とも無縁ではい。なぜなら、日本に輸入されるコピー用紙の約8割はインドネシア産で、APPはその4分の3を占めているからだ。家電量販店に行けば、廉価で売られているAPPのコピー用紙を容易に確認することができる。
熱帯林保全等に取り組む国際的組織レインフォレスト・アライアンス(RA)は、昨年2月「APPの管理下にある森林は、今も失われ続けている。社会的な紛争も未解決。法的に保護義務のある森林でさえも保護できずにいる」と厳しい評価を下している。
生態系の破壊も深刻だ。例えばAPPがスマトラ島で大規模に森林伐採している地域は、スマトラトラ、スマトラサイ、オランウータンなどの貴重な生息地であり、天然林には多様な生物種が生息している。
「地球温暖化、人権侵害、生態系の破壊といった問題にAPPが無縁になるのは、まだまだ時間がかかりそうです」(中司氏)
生産ルートをさかのぼってみると、世界ではさまざまな問題が引き起こされていた。
取材・文/樫田秀樹 写真/JATAN Riau Peasent Union (STR)
その煙害は隣国のマレーシアやシンガポールの空港を閉鎖させ、50万人以上が呼吸器系の疾患を患い、24人以上が死亡した。
しかし、これは自然発火ではなかったとの疑惑が持ち上がっている。森林火災の94%はスマトラ島、カリマンタン島、ニューギニア島の3島に集中しているのだ。
そこでは、世界一の油脂生産量を誇るパーム油を採るための油ヤシと、紙パルプを採るためのアカシアのプランテーションが、国土を埋め尽くす勢いで造成されている。
現地を訪れたNGO「JATAN(日本熱帯林行動ネットワーク)」の中司喬之(なかつかたかゆき)氏はこう語る。
「開発業者は、天然林に火をつけて森を丸裸にするのです。多くの場所が泥炭湿地にあるため、ひとたび火がつけば地中の泥炭を伝わり燃え広がるため、なかなか鎮火しません。この環境破壊に大きく関与している企業の一つが、アジア最大級の総合製紙会社であるAPP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)社です」
10年で1000万ha(日本の面積の約4分の1)がプランテーションに
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