更新日:2022年06月29日 09:50
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人質事件被害者の高遠菜穂子さん、イラク支援を13年継続

‘16年3月でイラク戦争開戦から13年になるが、米軍の大部分が撤退した今も、現地ではIS(イスラム国)とイラク政府軍との戦闘やテロが連日のように行われ、情勢はますます混迷の度を深めている。
人質事件被害者の高遠菜穂子さん

【高遠菜穂子 】‘70年、北海道生まれ。’03年以降、イラク戦争被害者支援を行う。’04年、現地武装勢力に拘束されるが解放され、その後も支援活動を継続中

 そんなイラクで一人の日本人女性が、今なお人道支援活動を続けている。イラク日本人人質事件(‘04年)の被害者である高遠菜穂子さんだ。  高遠さんが今回支援を行ったのは、イラク北部クルド人自治区の都市アルビルとその北東の町シャクラーワ。他地域から逃げてきた国内避難民(IDP)が押し寄せ、郊外の避難民キャンプには、粗末なテントや仮設住宅に、多くの人々が暮らしていた。 「イラクの国内避難民は320万人以上と言われています。国外に出ることができた、いわゆる『難民』と違い、国内避難民の状況が日本を含む海外メディアで報じられることは少なく、支援も不足しがちです。イラク南部は暑いのですが、北部の高地は冬とても寒くなり氷点下になることもあります。でも、避難民には十分な灯油も毛布もなく、寒さで凍えています。  今回は、避難民自身がつくったNGOと協力して、117家族に4.7t分の食料を届けました。豆4種、栄養粉ミルク、食料油6本、紅茶葉の詰め合わせとコメ25kgのセットです。でも、正直なところ全然足りません。もっと予算があるといいのですが……」(同)
ファルージャ空爆された病院

イラク中部ファルージャでは、イラク政府軍が「IS掃討」を名目に猛爆撃。病院も破壊され、子供たちも死傷するなど大きな被害が

 支援はすべて高遠さんが日本で集めた寄付金によって賄われている。日本で講演等を行い、その資金でイラク北部や隣国ヨルダンへ渡り、支援物資を人々に送る。そうした活動を米軍イラク占領開始の’03年5月から13年近く続けている。 「武装勢力による拘束」という過酷な体験を乗り越えて、なぜ彼女はイラク支援を続けるのか。報道がほとんどされていない「イラクの現状」は、どうなっているのか。2/16発売の週刊SPA!に掲載「いまだ現地活動中の高遠菜穂子がリポート イラク戦争は終わってない!」では、さらに詳しいイラク現地の様子や、高遠さんが支援を続ける「理由」などについてリポートしている。 取材・文・撮影/志葉 玲 写真/イラクホープネットワーク(http://www.iraq-hope.net/)
週刊SPA!2/23号(2/16発売)

表紙の人/ E-girls

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