大王製紙元幹部「井川支配に比べればナベツネはかわいい」
週刊SPA!12/13発売「老舗・同族 大手ブラック企業社員の叫び声」では、この大王製紙元社員のほか、大手生保、商社子会社、老舗薬品、大手予備校などの“ブラック企業”ぶりを告発した。
取材・文・撮影/週刊SPA!編集部
11月22日、大王製紙の前会長・井川意高氏(47歳)が東京地検特捜部に逮捕された。「この報道を聞き、もともと“早慶レベル”だったブラック偏差値は、いよいよ“国立医学部級”に跳ね上がったな、と思いました」と話すのは大王製紙の元社員だ。
同社は、創業者・井川伊勢吉氏、2代目「中興の祖」である現顧問・高雄氏(74歳)、そして意高氏と3代続く典型的な同族企業だ。社内には「井川家支配」が蔓延しているという。
「事件が起こってからも、役員は井川家と決別する気は一切ないと言って、非難を浴びましたが、それは本音だと思います。過去も現在も一族直系が在籍しているかどうかでその部署の予算が決まる。ヘタに“外様”が実権を握ろうとしても、大王製紙=井川だから、逆に社内が荒れるだけ。さらに人事評価も、井川会長に気に入られなかったら、現場の評価がAでも、鶴の一声でCになる。入社したら、まずは井川家について学ばないといけません。そして、四国本社などは、行動エリアも限られるので、プライベートで一族に遭遇しないように、一族の車のナンバーを覚えておくことも大切です」
人事権があるのは、井川家のみ。「ナベツネのコーチ人事介入など、かわいいもんです」と嘆息するのは、別の元幹部だ。
「あるとき、ある総務部長が高雄さん(現顧問)に背後から声をかけたことがありました。そのことで高雄さんが激昂。『なぜ、後ろからじゃ! ワシに対して言葉をかけるときは前に出てくるのが普通だろう!』 と。その総務部長は即刻クビになってしまいました。一族にとって、社員全員が使用人にすぎないんですよ。私は、高雄さんが佐光正義氏(現社長)に対して『おい、何やってるんだ、サコー!』と面罵している場面を何度も見ました」
「井川天皇」に支配された社員たちは、毎月60回の営業回りを命じられ、さらに逐一上司への報告を義務付けられることも。
「月60回といっても、ウチはルート販売だから、既存取引先ばかり。つまり、そんなにお客さんの数はないんですよ。お得意さんのところに月4回、5回と行っても『また来たの?』って言われて、まったく会話は弾まない。でも、上は『月60回』をお題目のように唱えるばかり。しかもこの話には続きがあって……。どうやら最初は“計画を立てて、訪問する”という指示があったらしいのです。しかし、話の終わりに前会長が『計画に時間を割きすぎるな』と言ったが最後、役員たちは考えもなしに『9時半から16時半までは事務所に帰ってくるな』と。打ち合わせがあるときはどうすればと問うと、『打ち合わせは17時以降にしろ』と言う。一応、終業時間は17時半。結局、残業になります。不満があっても、『すべては井川会長のお達しだから仕方ないじゃないか』となるわけです」(元社員)
さらに大王製紙では、毎月1日に30〜40人の社員たちが転居含み の異動を言い渡されるという。
「現場は常に落ち着かず業務的にはタマったもんじゃない。結局、大王製紙はブラック偏差値が高いから優秀な人が来ないんです。たとえ入ったとしても、そういう人は何かしようと思って反発し、立場を悪くして辞めるか、嫌気が差して辞めます。基本はイエスマンで好かれた人か、何も考えてないのん気な人たちしか残らない。商談中、お客さんの前で寝ちゃう人もいますから(笑)」
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