付き合う男がクズばかり…3人続いたら自分の“男スカウター”を疑え【西原理恵子×花房観音×生島マリカ】
生暖かい空気が猛暑の訪れを告げた某夜。麻布十番の隠れ家バーに、漫画家の西原理恵子、作家の花房観音、作家の生島マリカが現れた。以前からそれぞれと交流のある生島が、西原の大ファンである花房を初めて本人と引き合わせる会だという。稀代の女傑が揃うレアな現場に潜入し、賜った金言を3回に渡りお届けする。
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――3人並ぶとすごい迫力です。失礼を承知で申し上げると、「クズ男にひっかかった経験」が皆さんに共通する創作の原点のように思えるのですが。
生島:確かに、我々にクズを語らせたらトップレベルの自負ありますね。
西原:うん。間違ってない。私の10代は高知の田舎で、「お前ら道路公団の出先機関か!」ってくらい暴走族が我が物顔で道路占拠してて。「手取り8万円しかなくても、ソアラ乗ってる男がカッコいい!」みたいな時代でしたから。
中学生で初体験。いきなり中出しされて子供できたら逃げられた! とか、知能指数0みたいな話ばっかりの中で、ご多分に漏れず私もそれなりのクズと付き合っておりました(笑)。で、こんなクソみたいな男は嫌だ、逃げなあかんって苦労して難関美大に受かったはずなのに……懲りずに無職の男と付き合って……。「何のために東京来たんや~~~!」って、あの頃の自分を牛刀で切り刻んでやりたい。
生島:牛刀ですか(笑)。
西原:“男に大事にされない恋愛”が当たり前の思春期を過ごすと、愛する人とのセックスが尊いものだと知らないで育つんですよ。
そもそも、ウチは父親の借金や暴力がひどくて、私の貯金40万持って「これで大逆転するわ!」って丸亀競艇に行ってしまうような人だったから。シワシワの1万円を母親と奪い合ってるの見て「お父さん、それは死んだ方がいいわ」と思いましたよ。でも、後に自分の夫にも同じことされるんですよね……。
あの頃、周りのお母さんたちも普通に旦那に殴られてた。男が女を殴っても良いって空気は、今とは比べ物にならないくらいあったけどね。
生島:80年代くらいまでは、そうでしたよね……。
花房:田舎は特に。今みたいにDVだ、セクハラだって概念はまったくなかったですもんね。私の田舎の知り合いも、妊娠→結婚→旦那の浮気か暴力で離婚って人、たくさんいます。
西原:だから、上京してすぐの頃はカルチャーショックが多すぎました。だって、東京ってまず無職の人があんまりいないじゃないですか。仕事で出会う人はみんな教養があって、優しくて、殴らなくて、遅刻しなくて、貯金があって、嘘をつかない……。でも、いざそういう人の存在を知っても、好きになる男の価値観は治らない。ずっとアル中や無職まがいのばっかり。
ただ、その一つ一つにきちんと責任を取ってきたから、人生の夕暮れ期に入った今、やっとまともで、素敵な彼氏(高須院長)が来てくれたんだとは思う。
生島:西原さんの場合、ほんと、そうですね。私も14歳の頃に付き合っていた男の人にバカラの角灰皿で頭を割られたことがありました。14歳ですよ! しかも相手は30歳年上で45歳の結構な経営者。別れたいって言っただけで。今の時代なら逮捕されて社会的地位を失ってますよ、完全に(笑)。あとはそれぞれ鼻骨、あばら3回ずつ骨折と、両手にも刃物の怪我が。深い付き合いになった人にはわりと暴力を振るわれてきましたし、14歳で性奴隷になった経験もあるから……。
西原&花房:性奴隷!
『ダーリンは70歳』 二人合わせて120歳の熟年バカップル漫画。 |
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