スーパーやコンビニのレシートって必要? 店員からも疑問の声
スーパーやコンビニで買い物をした際、基本的にはレシートが手渡される。しかし、家計簿をきちんと管理している人や確定申告が必要な個人事業主をのぞき、大半の人が店内のゴミ箱に破棄してしまうのではないだろうか。レジの横に小さな箱が設置されている場合もあるが、不要なレシートで溢れてしまっていることも珍しくない。
関西地方の食品スーパーに勤務するAさん(30代)がこう話す。
「レジで印刷されるレシートのほとんどが、じつはリサイクルには適していない紙だということをご存知でしょうか?」
Aさんによると、多くのスーパーやコンビニのレジで使用されているレシートは“感熱紙”と呼ばれる種類で、リサイクルには不向きなのだという。古紙再生促進センターのホームページによると、主にレシートやFAX用紙として使われている感熱紙は製紙原料とならない異物(禁忌品)とされている。再生の妨げとなるので、あらかじめ取り除く必要があるそうだ。
ではリサイクルには適していないにも関わらず、なぜ感熱紙が使われるのだろうか。
「感熱紙には、熱により化学反応を起こして変色する物質が含まれており、文字や図形の形に合わせて熱すると、それらを浮かび上がらせることができます。感熱紙への印刷は、熱源があればよいため、インクやトナーを必要としません。インク交換の手間がいらず、故障が少ない。インクのタンクや、紙の上を左右に動くインク噴射部がないため、プリンターが小型で済む。また、電力の消費も少ないというメリットがあるため、多くのスーパーやコンビニのレシート用紙として使われている現状があります」
とはいえ、レジでレシートを受け取っても、すぐに店内のゴミ箱へ廃棄する人は多い。レジ横に不要なレシートを入れることができる小さな箱が設置されている店舗も増えているが……。
「私が勤務しているスーパーでは、そのような箱は設置されていないため、レシートは一般ゴミ用の箱に捨てられてしまっている。また、レシートをゴミ箱にきちんと入れず、買い物カゴなどに放置したり、床にポイ捨てしている人もなかにはいますね」
レシートが散乱している光景を目の当たりに、Aさんは疑問を覚えたのだという。ほとんどが短時間で廃棄されてしまう紙なのに、リサイクルのための配慮が足りていない。レシート1枚あたりのサイズは小さくても、日本全体では膨大な量になるのでは?
「もちろん、家計を管理するためにレシートが必要だという人はいると思います。その一方で、レシートは不要な人も多い。たとえば、私自身が商品を買うときでも、家族全員の生活に関わるものを購入する場合などは、同居する親に代金を請求するためにレシートは必要。しかし、個人のためだけに購入する100~200円前後の飲料やお菓子程度の金額ならレシートは不要だと感じています」
レジの機械を改良し、レシートをどうしても必要とする客のみに発行する仕組みにすれば良いはずなのだが、そう簡単にもいかないのだろう。
最近では、客のスマートフォンに、購入した商品情報の履歴を送信する“電子レシート”のシステムが研究開発されており、これが普及すれば、レシート用紙を削減する効果が期待できる。とはいえ、世の中には中高年をはじめ、スマートフォンを持っていない人も多い。たとえ電子レシートが普及したとしても、紙のレシートが完全に無くなることはずいぶんと先の話になるだろう。
私たちが普段なにげなく接しているレシート。近年の日本では、環境配慮のためにレジ袋を減らそうという動きはある。それに比べると、レシート用紙への関心は低いようにも思える。しかし、こうした声を聞いてみれば、なにか改善の余地があるのかもしれない。
<取材・文/日刊SPA!取材班>
スーパーやコンビニのレシートは不要? 店員が覚えた違和感
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