年収800万円からホームレスへ転落した男――酒と脱法ドラッグで認知症が悪化して
「あの人の名前、なんだっけ?」「昨日の晩ご飯、何を食べたっけ?」「実家の郵便番号っていくつだっけ?」……。30~40代にもなると急激に進む記憶力の低下。「あれ」「それ」といった指示語で会話する頻度が増えるたびに、「もしかしてボケが始まっているかも」と不安になる読者も多いことだろう。近年増加傾向にある若年性痴呆症は、決して他人事ではないのだ。はたして彼らはどのような兆候があり、現在どのような暮らしを送っているのか。現状に迫った。
…加藤 徹さん(仮名・43歳)兆候 20代後半/発症 35歳
30代前半までは大手アパレル会社のバイヤーとして、年収800万円を稼いでいた加藤さん。しかし、次第に酒に溺れ、絵に描いたように転落していった。
「20代後半から、会議や商談中に突如奇声を発したり、発注ミスを繰り返して会社に損害を与えることがありました。振り返れば、その頃から認知症気味の症状が出ていたと思います。ただ、それが加速したのは、明らかに酒、そして脱法ドラッグにまで手を出した影響が大きかった。ファッション業界って、基本的にオシャレな不良の集まりなんですよ。酒もドラッグも“ファッション”として根づいていて、僕は度を越してハマってしまったことがいけなかった」
30代前半には問題行動が目に余るようになり、最後は自分から“蒸発”してしまう。
「35歳の頃、歌舞伎町で風俗のキャッチになりました。3年間やって、そこでまた脱法ドラッグにハマってしまい……不規則な生活に酒、ドラッグがたたったのか、脳梗塞になり、その後遺症で脳血管性認知症と診断されたんです」
酒と脱法ドラッグにハマって認知症悪化
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