変形学生服“卒ラン”最新トレンド――刺繍は「夜露死苦」から「Best Friend」へ
出会いがあれば、別れもある。3月といえば、卒業式の季節だ。楽しかったことや悲しかったこと。数々の思い出を胸に、それぞれの道へと巣立っていく。中高生にとっては特別な日、晴れ舞台のひとつといえるだろう。かつてはクラスのヤンキーたちが硬派な生き様を変形学生服の“卒ラン”に刻み、街中を闊歩していた。そんな姿を目にする機会も少なくなったが、その伝統や文化は終わっていない。福岡や九州においては、数百人規模で集まった卒ランや特攻服を着た卒業生たちがニュースとして取りあげられることも定番となりつつある。
一見、彼らは毎年同じようなデザインの卒ランを着ているように思えるが、じつは「時代と共に若干の変化がある」というのだ。では、2018年のトレンドとはいかなるものだろうか。
30年以上に渡って卒ランや特攻服を作り続け、ヤンキー御用達ショップとして伝説の不良雑誌『チャンプロード』(※現在は休刊)でも特集ページが組まれていた業界大手の「プロス通販」(岡山県)に話を伺ったところ、「以前のような硬派な漢字の詩だけではなく、カジュアルなデザインが増えている印象」だという。
プロス通販には、岡山だけではなく、九州や沖縄、日本全国から注文が届く。卒業式に向けて、早ければ10月・11月、テスト期間が終わった頃に動き始めるひとがほとんどで、1月から繁忙期に入る。では今年、実際に注文が多かったデザインの傾向は?
「確かに卒ランのオーダーはひと昔に比べれば減ったかもしれません。とはいえ、流行ではなくとも、形を変えながら根強い人気があります。硬派な詩の刺繍はもちろんですが、最近ではユーモアを交えた文言が増えています。正確な理由はわかりませんが、5〜6年前からでしょうか」
・ユーモア
たとえば、彼らがたまり場にしていたファミレスの名前「ジョイフル」、パーティーピープルの略語である「パリピ」。文言も堅いものではなく、「人生ノリと勢い」や「三度の飯より飯が好き」など、よりいまっぽく変わりつつあるようだ。
・アルファベット
卒ランといえば、「夜露死苦」に代表される漢字や四字熟語などが定番だが、英語やアルファベットを使ったファッション性を意識したデザインも増えているらしい。具体的には、卒業を意味する「Graduation」や親友を意味する「Best Friend」など。
2018年の変形学生服“卒ラン”トレンドは?
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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