更新日:2022年12月30日 09:38
ライフ

ファッションの魅力から“幸服論”まで…バイヤーMB男泣きの一夜!

―[SPA!創刊30周年]―
 『週刊SPA!』の創刊30周年を記念し、LOFT9 Shibuyaにて1か月に渡って開催されている「SPA!フェス」。新旧連載陣が登場する本イベントだが、5月26日(土)はメンズファッションバイヤー&ブロガーのMB氏による「人生は服で簡単に変えられる byMB」が行われた。今回はチケットが早々にソールドアウト。泣く泣く訪れることができなかった人のために、メンズファッションの魅力が詰まった一夜の様子をお届けする。

「MB×SPA!」コラボ4アイテムの制作秘話

 イベントの冒頭、30周年を記念して発売される「MB×SPA!」コラボ4アイテム(チャッカブーツ、鞄、名刺入れ、折り畳み傘)が実際にお披露目された。  その制作秘話をデザインを手掛けたMB氏に加え、週刊SPA!の犬飼孝司編集長、そしてMBアイテムのほとんどの管理・生産を担当しており、ブランド「number」のディレクターを務める一宮武史氏が語った。  まずは犬飼編集長が、傘と防水仕様のチャッカブーツが誕生した経緯を「SPA!30周年の6月が梅雨時ということで。日本は降雨量が多いにも関わらず、あまり雨に強くてオシャレなアイテムがないなと思って」と説明。MB氏がチャッカブーツの魅力をこう続ける。 「チャッカブーツは防水なので合皮ですが、防水性をきちんと調べてあって、その規格が通っている。ビジネス用・フォーマルでも使えるようにヒモが付いているから、完全防水ではありませんが、雪道で履いても大丈夫なダイナイトソールを採用しています」
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MB氏

 次に、折り畳み傘。一宮氏によると、「某有名セレクトショップのオリジナル傘を作っている工場にお願いした」というのだが、そのショップではプリント無しでも2倍ぐらいの値段で売られているらしい。つまり、「MB×SPA!」コラボの傘は、ありえないほどコスパが高いアイテムなのだ。
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MBアイテムのほとんどの管理・生産を担当する一宮氏(左)

 通常は「工場がもっている生地を選んで、それぞれのショップの色を出していくことが多い」というが、今回はブラックを主張してビジネススタイルでも使えるように配慮されている。では、MB氏がこだわった点は? 「折り畳み傘って、良い生地を使って丁寧に作ってもなかなか伝わらないというか。無地だと、パッと見では『コンビニで売っているモノとどう違うの?』って思われちゃうのが嫌で。ワンポイントを入れることで決して安物ではないという雰囲気が出るかなと」  さらに、一宮氏が「とにかくMBさんが袋にうるさくて(笑)」と振り返る。これに対し、MB氏が「傘を突っ込むときって、入れにくくて、必ず手が濡れるじゃないですか。だから広げられるようにボタンを付けてあります」と説明した。  続いては、MB氏が「難産だった」という本革の鞄。 「ブリーフケースって、値段を高くすればなんとでも出来るけど……。サラリーマンって、PCや書類を入れたりするから、基本的にはリュックになる。だから、これを使うのはデートとか冠婚葬祭みたいな決めのシーンだと思うんです。とはいえ、持ち手のハンドルをたたんでしまえば、クラッチとして日常でも使える」  しかしながら、だれもがすでに仕事用の鞄はもっているはず。あえて買ってもらうためにはどうするべきか。本革にひと工夫を加えながら価格を2万円台に抑えたという。ハイブランドさながらの目を惹くスタイリッシュなデザインだ。一宮氏がこう話す。 「レザーにエンボス加工を施して波打つような表情をプラス。市場にあまりないアイテムに仕上がったのでは。あとはクラッチバッグとしても使えるように、マチのサイジングにこだわった。あまり太いと、クラッチバッグとしては疑問符がついてしまうので」  絶妙な薄さながら、PCを収納することもできる。さらに、犬飼編集長が「フロントのベルトが、じつはマグネット式になっており、開閉が簡単」とポイントを説明。
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『週刊SPA!』の犬飼編集長(右)

 デザインと機能性が両立しているうえ、注目すべきはその価格。MB氏がこう言う。 「ハイブランドと遜色ないようなデザインですが、ハイブランドの場合は作りがクラシックなので、マグネット式はあまりなかったりします。今回は使い勝手も考えました。また、SPA!の30周年のお祝いということで、本当にギリギリまで値段を抑えました。そして、同じ素材でセットで使って欲しいと思って名刺ケースも」  スナップボタンが付いているので、小銭入れとして活用できる。そんな今回のコラボアイテムは5月28日(月)より専用サイトから購入可能だ。

素人たちが「FREAK’S STORE」に新商品をプレゼン!

 続いて、MB氏のオンラインサロン「MB LABO」のメンバーたちが、人気セレクトショップ「FREAK’S STORE(フリークスストア)」に対してアウターの新商品をプレゼンするという企画が行われた。
フリークスストア

左から、司会の田中氏(MB LABO会員)、太田氏(フリークスストア)、MB氏、簗瀬氏(フリークスストア)

 今回、フリークスストアからは販売促進・プロモーションを担当する簗瀬氏、そして商品部でMDを担当する太田悠氏が登場。そんなプロたちを前に、MB LABOから合計15チームがアイデアを発表した。 「モノが溢れている時代、閉塞感のあるファッション業界ですが、そのなかで面白いことに挑戦しているフリークスストアさんとなにか出来たらいいなと思って」(MB)

MB氏とフリークスストアは、先に“クロシェット”をコラボで制作しており、6月3日からフリークスストアのホームページで予約できるという。ブラック、ブラウン、オレンジの3色展開。

 お題はアウター。今秋のトレンドを意識したチェック柄、’90年代に流行したコズビーニット、今までにないタオル地のジャケット、子どもがいるお父さん目線で便利なアイテムまで。MB氏といえばメンズファッションの専門家だが、MB LABOのメンバーは男性だけではない。女性だけのチームから「男性に着て欲しいアウター」という提案も。だれもが目を輝かせながら熱い思いを語っていた。  ときにはフリークスストアのプロたちを唸らせるようなアイデアやMB氏から「欲しい!」という言葉まで飛び出した。洋服が好きとはいえ、メンバーたちは素人である。 「着る人のことを考えているのが伝わってきて、むしろ勉強になることが多かったです」(簗瀬) 「毎週月曜日の弊社の会議に出てもらいたいぐらい」(太田) 「いまの時代ってモノから考えてしまうことが多いんですよね。こういうモノが“安く作れるから”とか“うまく作れるから”って。いざ商品化してみると売れない。それって他人目線の欠如が原因だと思うんですよね。相手の人が満足してくれて、喜んでくれるかどうか。その対価として利益がうまれる。その当たり前のことが各チームで出来ていて良かったです」(MB)  今回のアイデアから実際に商品化されるという。どれが採用されるのかは、追ってMB LABOで発表していくそうだ。ファッションアイテムがいかにして誕生するのか。その一端を垣間みることが出来た。

他人のために生きること…

 MB氏は4月に『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』を上梓したばかりだが、今回はその出版記念も兼ねている。MB氏の盟友で、日刊SPA!でも連載中のコンサルタントの佐々木氏が登壇。約5年前、「世の中を変えよう」という意志でサイト「Knower Mag」を立ち上げた当時を感慨深く振り返った。そして、同書はファッションを通した自己啓発本のようになっているそうだが、MB氏が本当に伝えたかったことはなんだったのか……。
対談

MB氏の盟友、佐々木氏(右)が登場

 イベントの終盤には、なんとMB氏が涙を浮かべる場面も。 「僕は母親のために生きてきました。裕福な家庭に育ったけど、小学校6年生のときに父親の会社が倒産して。オンボロなアパートに引っ越して、借金取りがくるような生活に転落したんです。ふすまを開けると、ドラマみたいに母親がすすり泣いているような……そこで、僕の人生は自分のためにあるんじゃないんだって。それまで洋服が好きでフェンディとかを着ていた母親がなにも買わなくなって。その代わり、僕ら兄弟にみすぼらしい格好をさせないために、伊勢丹の型落ちした少し安い商品を着させてくれたんです」  そんな母親のために恩返しをしようと思って生きてきた。働き始めてから高級ブランドのアイテムを多数プレゼントしたが、いろんな経験を経てきたぶん、母親はたいして喜ばなかったという。だが、幸服論を読ませたところ、ついに感動して「ありがとう」と泣いてくれたそうだ。そして、人生が変わった。 「そのとき、本当に生きていて良かったと幸福感を覚えたんです。母親が泣いてくれたことで、ようやく呪縛から解き放たれた。何度も媒体では『他人のために生きる』と言ってきたが、それは母親のためだった。だから、これからは本当の意味で、他人のために生きられそうです」  人間の社会の仕組みはどうなっているのか。人間は1人では生きられない。組織のために、他人のために動くことで見返りがある……。  日本人の男性がファッションに興味をもてるために、もっと洋服を楽しめるように。そう動いた結果、きっとみんなに感謝してもらえる。そこに自分の人生の意味があるはず。きっと満足感や幸福感が満たされた人生になる……MB氏は涙ながらにそう言った。他人のために生きると人生が変革する。  今回のイベントでは、ファッションの魅力や楽しさはもちろんだが、ファッションを通して、人生がより良くなっていくということが伝わってくる一夜だった。<取材・文/藤井敦年、撮影/林紘輝> ⇒【動画配信中】創刊30周年「SPA!フェス」<第2ウィークエンド> MB「人生は服で簡単に変えられるbyMB」https://freshlive.tv/loftch/212660 ●「MB×SPA!30周年コラボビジネスアイテム」販売ページ https://mbspa.stores.jp/ SPA!フェス
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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