大麻所持容疑で逮捕のラッパーD.O「大麻は決して敵ではない」
6月28日、ヒップホップグループ「練マザファッカー」のリーダーでラッパーの「D.O」こと、君塚慈容容疑者が大麻取締法違反ならびに麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕された。
警視庁によると、東京・練馬区のアパートで大麻およそ770グラム、末端価格460万円相当とコカインを販売目的で所持した疑いなどが持たれており、さらに既に逮捕・起訴されているラッパーの「ダッチモンタナ」こと梶原弘行被告らと共にアメリカからおよそ1.5キロの大麻を密輸した疑いでも逮捕されている。
実は週刊SPA!では、2016年7月2日号「大麻のいま in the world」という特集で“大麻を知り尽くした男”としてD.Oにインタビューを行っていた。今回はその時のインタビューを全文掲載する。
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生粋のハードコアラッパーとしてストリートの最前線で生き抜くD.O氏。10代から真剣に大麻と向き合い、日本でも大麻を知り尽くしたキーパーソンの一人として挙げられる。そんなD.O氏が熱を込めて語るのは「大麻は決して敵ではない」ということ。数あるドラッグの中で大麻だけは唯一死者を出したことがなく、むしろ有用性の高い側面もたくさんあると言う。
「日本は侍の時代から大麻を嗜む習慣が存在していて、現在も『麻ボケ』という言葉でその文化の名残りを僕らは知ることができる。では、なぜ今禁止されているかといえば、現段階では政治的に合法化できない日本の立ち位置があるというだけの話。
他の先進国では普通に医療の現場でも扱われていて、末期がん患者や精神を病んだ人たちを癒してくれている。国によっては嗜好品としても解禁しようという流れになっているくらいだ。しかも大麻産業はものすごいポテンシャルを秘めていて、もし解禁されれば、今の経済の主流になる可能性だってある」
とはいえ、日本ではドラッグとして扱われている以上、人に害をもたらすこともあるはず。精神に影響をもたらす成分といわれるTHCについて聞くと、大麻栽培の進化の歴史に紐づいていると言う。
「’90年代あたりからハイドロと呼ばれる化学肥料を用いた人工の水耕栽培方法が確立されたことでTHCの含有量が劇的にアップした。’00年代に入ってからはアイソレーターと呼ばれる遠心分離法でTHCを抽出できるようになり、現在でさらに進化してワックスやオイルとして商品化され、含有量も99.9%にまで高められるようになっている。ここまでくるともう合成麻薬と認識する人もいて、取り締まる法律も大麻取締法の範疇ではなくなるようだ。個人的には成分100%になると、その大麻の品種固有の味や香りがなくなってしまうので文化としての『風流さ』がなくなっちゃうと思っているけど。
たしかに種類によっては怠惰になることもあるかもしれないけど、アルコールだってメシだって度を超せば同じでしょ。僕自身は大麻を合法化しろとか、良し悪しの議論するつもりなんてまったくなくて、ただ『僕には必要で、僕は好きだぜ!』というだけ。
日本でダメならダメでいい。それなら、合法な場所で楽しめばいい。
でも将来、日本も僕らみたいな野郎がオヤジになる時がくるから、そんな感覚も変わってくるかもしれないメ~ン!(笑)」
<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
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