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昭和と平成、プロ野球がおもしろかったのはどっち?

今上天皇の退位で、来年には幕を下ろす予定の平成。そんな平成とはいったいどんな時代だったのだろうか……と振り返りたいところだが、最近はなぜか「昭和かよ!」と言いたくなるような騒動や事件が続出している。そこで、さまざまな分野の昭和・平成の状況を比較。それぞれの時代の良しあしを確認して勝敗をつけながら、新時代に何を残すべきかを考えていく。 昭和 VS 平成

人間離れした神話のような決闘の世界vs科学的な理論も取り入れたアスリートたちのスポーツ

「平成の野球はアスリートのスポーツになりましたが、昭和野球は人間離れした神々の決闘でした」  そう話すのはライターの村瀬秀信氏。“神様、仏様、稲尾様”の稲尾和久は「鉄球を投げて肩の故障を治す」という荒療治を実行。合気道や居合にのめり込んだ伝説の打者・榎本喜八は精神のバランスを崩し、猟銃立てこもり事件を起こした。村瀬氏が稲尾vs王などの名勝負に交えて話した昭和野球の驚きの逸話は、科学に基づく打撃理論や練習法が当時は未確立だったことを物語っている。 「試合前に走る選手の後ろを通ると、もの凄く酒臭かったらしいですし(笑)。“ノミの心臓”と言われた今井雄太郎が酒を飲んで投げていたのも有名な話です」  野球古書店・ビブリオの小野祥之氏も「選手はベンチでタバコを吸い閑古鳥の泣く客席では鍋をやっている客もいたおおらかな時代でした(笑)」と昭和を振り返る。 「そんな時代だからこそ、江夏の『野球は一人でできる』や江本孟紀の『ベンチがアホやから野球がでけへん』などの名言も生まれたのではないでしょうか」
昭和 VS 平成

江夏豊と斉藤明夫という昭和のコワモテ投手2人が表紙の『Number』55号(昭和57年発行)

 一方で昭和時代は乱闘も多発。「“星野組の鉄砲玉”岩本好広のように乱闘要員の選手もいた」と村瀬氏。選手の見た目も怖かった。 「岩隈のような優男はいなかったし、入団直後の若手も40歳のおっさんに見えました(笑)。服装もヤクザとの交遊が多かったのか、白のスーツに白のエナメル靴みたいな人が多かったです。そんな野球選手の服装を決定的に変えたのはイチローでしょうね」(小野氏)
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これからの新時代は昭和野球が復権するかも?
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