雲の上の存在の昭和アイドルvs距離感の近い平成グループアイドル
女性アイドル研究家の北川昌弘氏(左)と元アイドル・女優の浦えりか氏
時はアイドル戦国時代。乃木坂46や欅坂46など「坂道グループ」が熱狂的な人気を集めるなど、いまやグループアイドル全盛の時代だ。一方、昭和を思い返してみれば、ピンのアイドルが主流。いずれも多くのファンを虜にしてきた両者だが、一体どちらが真のアイドルなのか!?
決着をつけるべく、女性アイドル研究家の北川昌弘氏と元アイドルでタレントの浦えりか氏に熱く語ってもらった!
北川昌弘(以下、北):どちらが真のアイドルかというのは難しすぎる(笑)。浦さんは昭和のアイドルをリアルタイムで見ていました?
浦えりか(以下、浦):私がアイドルにハマったのは高橋愛ちゃんたちが加入した頃のモーニング娘。がきっかけなので、リアルタイムでは見ていないんですよ。当時はどんな状況だったんですか?
北:松田聖子や中森明菜、キャンディーズなど、テレビに出てくるアイドルをみんなが好きになっていたよね。歌番組の翌日はアイドルの話題でもちきり。
浦:SNSの狭いコミュニティで盛り上がっている現代とは正反対ですね。今って自分で名乗ればアイドルになれる時代で、地下アイドルや地方在住も含めたらものすごい数になっている。でも、昔と違ってマスコミに出られなくてもある程度のファンがいれば、十分に活動できる時代です。
北:昔ってテレビが独占状態だから、毎年のようにアイドルをスターにすることができた。でもテレビの影響力は低下して、ネットによって民主化と多様化が進んだ。
浦:むしろアイドルが主戦場とするメディアはネットです。ファンの好みも分かれるからグループアイドルの人気が出るのは当然。
北:平成のアイドルといえば、握手会の存在も無視できないよね。
浦:でも、昭和の時代もデパートの屋上で握手会をしていたって聞いたことがあるんですよね。
北:あったあった! でも昔のアイドルは絶対に手の届かない存在だったんですよ。反対に今では、認知してもらえるようになっているでしょ? ファンからすれば「ひょっとしたら付き合えるかも」と思えるほど近い距離感でもある。この「相互認知」が平成と昭和の大きな違いで、その証拠に昔のアイドルオタクは身なりなんて気にしなかったのに、今ではオシャレに気に使うファンが激増(笑)。
浦:個人的には、テレビから人気に火がついた人を「アイドル」と呼びたい気持ちがあって……。でも、結局は「アイドル=偶像」なので、一人ひとりにとってのアイドルが真のアイドルなのかなと。
北:そうそう、もう国民的に知られている必要はない。昔の定義からいえばAKB48はアイドルとは言えないけど、今そんなこと言っていたら「北川は大丈夫か?」と思われるのがオチですよ(笑)。