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『逃げ恥』に見る平成ドラマの特徴。昭和と大きく違う恋愛観

今上天皇の退位で、来年には幕を下ろす予定の平成。そんな平成とはいったいどんな時代だったのだろうか……と振り返りたいところだが、最近はなぜか「昭和かよ!」と言いたくなるような騒動や事件が続出している。そこで、さまざまな分野の昭和・平成の状況を比較。それぞれの時代の良しあしを確認して勝敗をつけながら、新時代に何を残すべきかを考えていく。

“恋愛強者”な昭和の群像劇vs“恋愛弱者”が登場する平成ドラマ

 “W浅野”と聞いて、ひたすらなつかしく感じる向きは多いだろう。’88年に放映され、4回のスペシャル版も制作された恋愛ドラマ『抱きしめたい』(フジテレビ系)。スタイリスト役の浅野温子と友人で専業主婦役の浅野ゆう子は、職業は違えど都内の高級マンションに住み、生活も豪奢。その華やかさはバブル経済真っ只中の日本と被り、“W浅野”なる言葉は、ドラマとともに圧倒的な支持を得る。 「当時、貧乏学生だった私は、どうしたら独身女性が家賃25万の部屋に? と驚きましたが(笑)。それでも友達も含め、夢中で観ていました。自分たちもいつか、あんなふうになれるんじゃないか。そう思わせる時代の空気があったんです」  早稲田大学文学学術院教授の岡室美奈子氏は、当時を振り返る。「トレンディドラマ」は会話が生き生きしていて、恋愛劇としてリアリティがあったからこそ、視聴者に支持されたともつけ加える。『抱きしめたい』の放映から30年。今ドラマは刑事・医療モノが目立つ。 「バブル崩壊や9.11、東日本大震災など、平成は禍々しい事件に溢れました。自分の生死すら心配になる時代。身近なメディアであるテレビに触れるほど、そんなふうに痛感するのかもしれません」  加えてSNSの普及は、なんとなく孤独に向き合わずに済む人たちを生んだ。「今は恋愛ドラマには厳しい時代」と岡室氏は分析する。
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今の若者も、気持ちの奥底では恋はしたい
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