どっちが幸せ? 年収400万円で上場企業のヒラ vs 年収600万円で中小企業の管理職
年収400万円vs年収600万円ではどちらが幸せか――。単純にお金だけを比較すると、手取り月収で約10万円(ボーナス3か月分で算出)の差があり、年収600万円のほうが幸せということになる。しかし、この年収200万円差を埋めるためにはさまざまな労苦を背負い、幸福度を下げなければならないケースもある。
年収600万円を手にするために、ヒラ社員から中間管理職に出世。プレイングマネジャーとして多忙な日々を送り、家族との時間も持てずに都会のストレスに蝕まれていくかもしれない。一方で、年収400万円男は出世を諦めたヒラ社員だが、時間に余裕はある。しかし、生活費に余裕などなく、子供を私立の学校に行かせることもできない。当然、世帯年収を引き上げてくれる共働き妻には頭が上がらないだろう。このように、どちらが幸せかは付帯する条件で変化するため、一概に年収だけで決めることはできないのだ。
そこで年収400万円vs年収600万円に出世、仕事量、居住地域、学歴、配偶者、美醜などさまざまな条件を加え「どちらが幸せか?」というアンケートを35~45歳のサラリーマン男性300人に実施。年収200万円差を埋める幸せの条件とは? この価値観論争に終止符を打つ!
●年収400万円・上場企業のヒラ社員のほうが幸せ 56%
1位 仕事量が少ない
2位 収入が安定している
3位 自由&気楽そう
●年収600万円・中小企業の管理職のほうが幸せ 44%
1位 収入は多いほうが◎
2位 出世したいから
3位 やりがいがありそう
年収に地位と所属企業の規模を加味すると、どちらが幸せなのか。アンケート結果では年収400万円の上場企業ヒラ社員が56%で少し優位に立つ。そこには年収が低くても“安定”した企業の“仕事が少ない”“自由で気楽”なヒラ社員を望むワークライフバランス重視型の人が増えたからと言える。
「中小企業の中間管理職はプレイングマネジャー。現場と管理を同時に行って残業まみれなうえ、いつ会社が傾くかわからない。将来が不安だから共働きになるし、そうなれば家事や子育ての分担で家庭も荒みそう。収入が増えるとはいえ、出世のメリットは少ないですよ」(39歳・中小広告管理職)
世間のイメージもまったく同様だろう。だが、上場企業のヒラ社員が直面する現実を考えると「簡単に答えが出せるものではない」と人事コンサルタントの城繁幸氏は指摘する。
「雇用は守られますが、そのぶん、社内の慣習を受け入れなければなりません。転勤やローテーション人事、そして残業です。中小企業のほうが労働時間が長いというのは大きな誤解。月60時間程度なら残業時間に大企業も中小企業も大差がありません」
経団連の「労働時間等実態調査2016年度」によれば、年間総労働時間が最も長いのは「5000人超~1万人」規模の大企業で1999時間。一方、最も短かったのは「500人超~1000人」の中小企業で1933時間だ。
「バブル世代より下は上場企業の正社員といえども、50歳を過ぎればいつクビを切られてもおかしくない状況。『仕事が少ない』と喜んでいるような人材を雇っているような体力は企業にもなく、50代ヒラ社員なんてリストラ対象でしかなくなります。それに労働市場が人手不足で流動性があるとはいえ、50代までヒラ社員だった人を雇ってくれる転職先は少ない」
5年後、10年後までは安泰でも、その先は真っ暗闇。ヒラ社員でい続けるリスクは高い。
「年収400万円・上場企業のヒラ社員vs年収600万円・中小企業の管理職」で対決。どっちが幸せ?
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