仕事

部活で怒鳴りちらす50代教師。昭和的な指導は古い? 正しい?

 経験豊富で実績もある40~50代のベテラン社員は、若手にとっては頼りになる存在。だが、仕事のプロセスや考え方が大きく異なり、戸惑うことも珍しくない。  公立中学校の女子バレー部の顧問を務める大井宗次郎さん(仮名・30歳)もそんなひとりだ。

顧問の怒号が絶えず飛ぶ、隣町の中学バレー部の指導法にドン引き

バレーボール

写真はイメージです(以下同じ)

「隣町の中学校と定期的に練習試合を行うのですが、そこの顧問のS先生(50代)はこれまで赴任した学校を強豪に押し上げた県内でも有名な指導者。でも、そのやり方がいかにも昭和的というか、私には違和感しかなくて……」  さすがに殴るなどの体罰などは行わないそうだが、以前合同練習を行った際にはレシーブを失敗するたびに怒号が飛び、大井さんの学校のバレー部員たちはすっかり委縮。その後、部員の総意としてキャプテンの女子生徒から「合同練習はしたくない」との申し出があり、練習試合だけ行うようにしたとか。 「練習中にふざけたり、やる気のない態度を見せていたら叱りますが、プレーのミスについては一切怒ったりはしません。私はバレーボール未経験で、学生時代はずっとサッカー部だったんですが高校の監督がそういう指導をしていたんです。ミスに対しても理論立てて説明する人で、それも答えを全部言わずに自分たちで考えさせるような指導方法でした。全国には行けませんでしたが、そのやり方で県内では上位の実績を残していましたし、私自身その監督のコーチングに学ぶところが多いと感じていました。それを自分なりに取り入れて指導していたんです」  そうした考えから練習中に絶えず顧問の怒号が飛ぶ、S先生の指導方法に疑問を抱いたそうだ。

生徒の側に立つ、自分のやり方を「甘い!」とダメ出しされた

「だってレシーブしてうつ伏せになったままの部員に容赦なくスパイクを打ち込むんですよ。昔、テレビでそういった猛練習のシーンを見た記憶がありますが、あれでどんな効果があるのか理解できません。S先生とは何度か飲む機会があったので、そのときに思ったことを話すと『大井先生は甘いですよ』って言われたんです」  そのうえでS先生は「今の子供たちには気合いや根性が足りない」と指摘。バレーボールの厳しい指導を通じて生徒のメンタルを鍛えているといった話をしたそうだ。 「確かに、その考え方には理解できる部分もあります。ですが倒れたままの部員にスパイクを打ち込み、身体に何発もボールが当たっているんです。見方によっては体罰ですし、私個人は体罰だと思ってます。今はモンスターペアレントの保護者もいますし、コンプライアンスの問題だってある。教師も時代に合った指導に変えていくことが必要ではないでしょうか? 実際、S先生のところは指導が厳しすぎて途中で辞める生徒も多いという話もウチの部員から聞いていたので。メンタルを鍛えようとしても、厳しくしすぎて辞めてしまったら本末転倒じゃないですか」
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指導方針の違い、それとも老害なのか
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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