更新日:2012年04月09日 18:28

派遣村は政治家のパフォーマンス 真に考えなければいけない問題とは

長年、「そういうものだ」と思い込んでいたことが、実はまるっきり違っていたという経験は誰にでもあるだろう。そこで、我々が普段当たり前のように思っていた定説をもう一度、洗い直してみたい 【雇用編】 貧困問題の本丸は「若い非正社員」ではない! <定説>”ワーキングプア”は1000万人いる <真実>本当の赤貧は200万人くらい <定説>ワーキングプアが一番の貧困問題 <真実>貧困問題の本丸は高齢化  フルタイムで働いても生活できない=ワーキングプア。これが拡大解釈され、年収200万円未満をさすケースが増えている。「民間給与の実態」(国税庁)によると、1000万人ともなる。だが、これらの人がみなワーキングプアとは言えないと海老原氏は指摘する。 「年収200万円未満には、パートの主婦や親と生計をともにするバイト学生が約400万人、自営業の家族専従者が224万人も含まれます。彼らはワーキングプアとは言えないでしょう」  この数字を除くと、純粋なワーキングプアは200万人程度とも。実際、扶養者ではなく世帯主の収入状況がわかる国民生活基礎調査(平成20年版)だと、『年収200万円未満』(年金含む)に占める非正規社員の割合は7%。代わって多いのは高齢者の49%と失業中は20%。非正規がワーキングプアの理由というのは明らかに違う。 「本丸は圧倒的多数の『高齢者』なんです」と海老原氏。 「低年収で資産も無い貧困高齢者が極端に多い。にも関わらず、政府は派遣村のような派手なパフォーマンスをやりたがる。例えば、諸悪の根源のようにいわれる日雇い派遣はたった9万人。派遣以外も含めた日雇い労働者全体でも120万人。この数字も、長期的には20万人程度減っているんです。もちろん派遣村のような緊急対策は必要ですが、政治家が人気稼ぎに利用している面もあるのでは」  高齢の低所得家庭は毎年8万世帯ずつ(0.2%)増えている一方で、生産年齢人口は大幅に減少する。これこそが本当の問題なのだ。 【海老原嗣生氏】 リクルートエージェント社フェロー。専門は、人材マネジメント、経営マネジメント論など。 新著『学歴の耐えられない軽さ』では、学歴と人気企業のウソを激烈に暴く ― 日本人の[定説]はウソだらけだった!【3】 ―
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