生徒の親との「LINE交換」に悩む教師たち。24時間、既読スルーは許されない
今や国内だけで約8200万人というアクティブユーザー数を誇る「LINE」(※2020年1-6月期 媒体資料)。プライベートだけでなく、仕事上のやりとりにおいても利用される機会が増えた。
「親御さんからLINEの交換を求められた時、私たちは『あっ、はい』とにこやかに応じるしかありません」
こう話すのは千葉県内の公立小学校教諭・坂本太志さん(仮名・20代)。学校とスマホを巡っては、様々な問題があったと振り返る。
「授業参加の時、親御さんがスマホで撮影するんですよね。以前は写真でしたが今は動画。運動会ならまだしも、授業中はやめてくれ、と言っても撮影する親御さんが後を絶ちません。ただ、これは注意できます。LINEは拒否できない」(坂本さん、以下同)
坂本さんは、勤務する小学校の教諭グループや学年担任グループ、さらに担任クラスの親たちと繋がるグループ、担当する部活動のママグループ、別にパパグループと、それぞれ属性の異なるLINEグループに強制的に入れられているという。
「はっきりいって“鳴りっぱなし”です。平日は教頭や校長、学年主任からメッセージがドカドカ寄せられますし、親御さんからは子どもの欠席連絡が朝の5時とかに入ることも。土日祝日、その前夜は部活動の親御さんから様々な連絡が入る。こちらが休みだろうと構わずです」
学校の先生といえば、平日は授業やテスト作成に部活動と、目も回るような忙しさ。土日祝日も部活動や学校イベントに振り回されて、休みという休みがほとんどないと言われる。ただでさえ少ないプライベートな時間が、LINEのせいで削られる。既読スルーは許されないのか?
「返さないと返さないで大変。ある日、子どもから『先生からLINEが返ってこないってママが怒ってた』と言われて冷や汗が出ました。別の親御さんからも『授業は一時間なのに、一時間以上返信がない』とクレームが入ったことも……。出来るだけ一時間以内に返すようにしています」
もはや対応するだけで精一杯という印象だが、ただ返していれば、反応していれば良いというわけではない。
「LINE交換しませんか?」
先方にこう告げられたり、自らが告げる機会も多くなった昨今だが、このひと言に恐れをなしている人たちがいる。嫌な客からLINE交換を無理強いされるキャバクラ嬢ではない。学校の先生たちだ。
生徒の親とのLINE交換に悩む学校教師たち
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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