伊藤詩織さんの勝訴、二審でひっくり返ることはあるか?驚きの新証言も…
「この2年間、死ななくてよかった。生きていてよかった」
ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)は、勝訴した12月18日の夜、報告集会でそう涙ぐんだ。
山口氏が控訴した場合、二審で判決がひっくり返る、つまり伊藤さん敗訴となる可能性はあるのだろうか?
18日の報告集会で、判決解説をした原告弁護団の村田智子弁護士は、こう述べた。
「非常にしっかりした判決で、そう簡単にひっくり返ることはないと、私たち弁護団は思っています」。
では、どこが「しっかりした」判決だったのか?原告弁護団の解説と「判決要旨」から整理すると――。
まず、伊藤さんの「合意なく性行為をされた」という供述は、一貫していて理にかなっていると裁判長は判断した。
酩酊状態→山口氏に引きずられるようにホテルに入る(防犯カメラ映像がある)→夜中に意識が戻ったとき性行為が行われており、拒絶したが押さえつけられ…といった経緯。また、当日すぐ産婦人科でアフターピルの処方を受け→5日後に警察に行った、という行動からして「合意があったとは考えられない」と裁判所は判断したわけだ。
なかでもリアルだったのは、性行為のあと伊藤さんが「シャワーを浴びることなく、朝5時50分にホテルからタクシーで帰宅した」こと。判決要旨にはこの点が2回も登場し、「合意のもとなら不自然に性急」で、一刻も早くホテルから去りたかったと考えるのが自然、だと指摘した。
たしかに、嘔吐したうえに避妊具なしの性行為をしたあと、女性がシャワーも浴びずに明け方帰るなんて、素人から見ても異常事態である。
また、村田弁護士が「うれしい点」として挙げたのが、「性犯罪被害者の心理について、きちんと理解した判決」という点だ。たとえば、事件の数日後に伊藤さんが山口氏に「無事にワシントンに戻られましたか?」といった普通のメールを送ったことを、山口氏は「合意していた証拠」だと主張してきた。だが、“性被害者が事実を受け入れられずに、今までと変わらないふるまいをするのはありうること”、と判決では被害者心理をくみとっている。
よく練られた判決ほどひっくり返りにくいもので、それが原告弁護団の自信につながっているのだろう。
対して、山口氏側はあくまで「明確に合意があった」「伊藤さんは酔って記憶が飛んでいるだけ」と主張し、控訴する意向だ。
ご存知のとおり、伊藤さんが元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)から2015年4月に性的暴行を受けたとして、1100万円の損害賠償を求める民事訴訟で、東京地裁は山口氏に330万円の支払いを命じる判決を下した。山口氏側は同日、「控訴する」と明言した。
翌12月19日には、伊藤さんと山口氏がそれぞれ外国人特派員協会で会見。「真実を話した」という伊藤さんと、「伊藤さんは嘘つきの常習犯」という山口氏の言い分は、真向からぶつかっている。
原告弁護団は「そう簡単にひっくり返ることはないと思う」
「シャワーを浴びずに帰った」のリアリティ
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