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フリーランスの60代宅配ドライバー。コロナで仕事が減ったワケとは?

 様々なスタイルの働き方が広まりつつある日本。最近ではフリーランスとして活躍する人が増えてきている。しかし、会社員のように安定収入を得ることはなかなか難しく、コロナ禍で「仕事がなくなってしまった」という個人事業主たちの声もチラホラ。

フリーの宅配ドライバー…コロナで仕事が減ったワケ

 そんなフリーランスの一人であるドライバー男性の声を聞くことができた。
宅配

写真はイメージです(以下同じ)

 今回取材に応じてくれた勇さん(仮名・60代)は、フリーランスの宅配ドライバー。現在は、個人宅へ荷物を運ぶ仕事を中心としている。  以前から筆者宅へ出入りしていた方なのだが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言辺りから元気がないように見えたので、話を聞いてみることにしたのだ。 「新型コロナウイルスの影響で仕事が増えるかと思いきや…。逆に減りましたよ」(勇さん、以下同じ)  新しい生活様式の中でもオンラインでの買い物が推奨されていたはずなのに…。意外な答えに驚きを隠せなかった。 「他業種からドライバーへ転身する人が増えたんです。“簡単に稼げる”とか“誰でも出来る”とか思われているみたいでねぇ」  新型コロナウイルスの影響により職を変える人が増え、宅配ドライバーに人気が集中しているそうだ。初期投資を応援する企業もあるとかで、自己資金0円からスタートできるのも始めやすいポイントになっているとのこと。  そもそも道を覚えないと話にならない仕事なのだが、ハードルが低いと思われがちだと嘆く。甘く見て参入する人ほど全く覚えられず、すぐに挫折すると語る。  勇さんの話から、一般的にイメージされているよりも実際はかなり過酷な現場であることが想像できた。

実際はそんなに稼げない

「求人広告には沢山稼げるように書かれているんですけど、実際は1回の配送でタバコ半分くらいの金額しかもらえないんですよ」 ドライバー しかもフリーランスの為、配達にかかる経費はすべて自腹。効率よく配達することができれば稼げるものの、決して楽なものではないと語る。 「大手運送会社の手が回らない分だけがフリーランスの宅配ドライバーに依頼がきます。決められた数を皆で分けるので、ドライバーの人数が多ければ多いほど一人当たりの配達個数が少ないんですよ」  配達個数によって収入が決まる宅配ドライバーにとって、同じように働く仲間が増えることは嬉しい反面、“ライバルが増えた”と思うこともあるそうだ。この気持ちに対し、勇さんは複雑な思いを抱えていた。 「最近はビールや酒瓶の配達が増えたね。破損したらクビだから怖いよね」  新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす時間が増えたことで、酒類をオンラインショップで購入する人が増えているとのこと。重く、扱いにも細心の注意を払わなくてはいけないことから、あまり運びたくないと語る。勇さん曰く、酒瓶の破損で契約を切られた仲間を何人も見てきたそうだ。
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今辞めても行き場がない
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